FUJIFILM FinePix S3Pro 作例

2004年11月30日発売

FinePix S3Proの仕様

FinePix S3 Proは、大小2種類の受光部を持つスーパーCCDハニカムSRIIを採用し、2004年11月に発売されたデジタル一眼レフである。ニコンFマウントの交換レンズを使いながら、明るい部分の白飛びを抑え、人物の肌や衣服の階調を表すことに力点を置いた。広い階調を得る設定では連続撮影の枚数や間隔に制約があり、画作りの選択が撮影の進め方にも関わる機種だった。

シリーズ
FinePix Pro
位置付け
独自SRIIセンサーを用いたFマウントのプロ向けAPS一眼レフ
先代
FinePixS2Pro
後継
FinePix S5Pro
ライバル
D70 EOS 20D

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投稿写真 276枚

Camera Profile

FinePix S3Proについて

発売当時の発表資料、専門媒体のレビュー、利用者の声から、この機種の位置付けと評判をまとめました。

登場した時代

2004年7月28日の国内発表では10月上旬の発売を予定していたが、9月29日に11月下旬へ延期された。その後、11月19日の案内で発売日が11月30日に確定した。価格はオープンで、この時点の店頭予想価格は26万円前後であった。1プレス デジカメWatch富士フイルム、FinePix S3 Proを11月30日に発売

富士写真フイルムはS3 ProをFinePixシリーズ最上位の一眼レフとし、S2 Proの後継に位置付けた。新センサーと画像処理によるダイナミックレンジの拡大を掲げ、プロの撮影に応える機種として投入したのである。2公式 富士写真フイルムFinePix S3 Pro 新発売(2004年7月28日)

ラインナップ上の位置付け

ニコンFマウントを採用し、AF-S、VR、D/Gタイプ、DXニッコールなどに対応した。富士フイルム独自の撮像素子と画像処理を、ニコンの交換レンズ系と組み合わせて使う構成であった。2公式 富士写真フイルムFinePix S3 Pro 新発売(2004年7月28日)

SRIIは23.0×15.5mmのAPSサイズCCDで、高感度のS画素617万と低感度のR画素617万を合わせ、有効1,234万画素と表記する。最大記録画像は4,256×2,848の約1,210万画素であり、感度の違う受光部の数と、生成する画像の画素数は同じ指標ではない。3公式 富士写真フイルムFinePix S3 Pro 主な仕様(11月30日更新)

画作りには「スタジオポートレート」と「フジクローム」を用意した。前者はプロ用ネガフィルムを意識し、ストロボによる白飛びを抑えて肌の階調のつながりを重視する。後者はリバーサルフィルムを意識した鮮やかな表現を狙ったもので、フィルム由来の異なる仕上がりを撮影時に選ぶ考え方だった。4公式 富士写真フイルムFinePix S3 Pro 使用説明書

先代からの進化

S2 Proからの主な進化として、メーカーはSRIIと新画像処理によるダイナミックレンジの4倍化を訴求した。これは画素数を増やす説明とは異なり、明暗を受け止める範囲を広げることを狙った更新である。2公式 富士写真フイルムFinePix S3 Pro 新発売(2004年7月28日)

D-レンジの「スタンダード」はS画素だけを使い、「ワイド」はS画素とR画素の両方を使う。ワイド時のAUTOは100〜400%を自動選択し、WIDE1は230%、WIDE2は400%に固定する。したがって、すべての設定やJPEG画像が常に4倍の階調範囲になるわけではない。4公式 富士写真フイルムFinePix S3 Pro 使用説明書

通常タイプでは、スタンダードRAWの最短撮影間隔は約0.4秒、最大連続枚数は7枚であるのに対し、ワイドRAWは約0.7秒、3枚となる。ワイドJPEGでも約1秒、6枚であり、広い階調を使うと撮影間隔と連続枚数が変わる仕様だった。3公式 富士写真フイルムFinePix S3 Pro 主な仕様(11月30日更新)

2005年9月22日には、バッファメモリーを128MBから256MBに増やした受注生産タイプが発売された。ワイドRAWは3枚から8枚、スタンダードRAWは7枚から17枚へ増えたが、最短撮影間隔は変わらない。既存機向けの有償増設も2005年9月21日から2006年3月末まで受け付け、増設後は製品名バッジが青色になると案内した。撮影の間隔を速める更新ではなく、続けて撮れる枚数を改善する対応である。5公式 富士写真フイルムFinePix S3 Proメモリー増設タイプ 新発売

ボディには縦位置グリップと縦位置シャッターボタン、ラバー被覆を新たに備えた。起動はメーカー公称約0.5秒で、従来比約2倍の高速化と説明された。2公式 富士写真フイルムFinePix S3 Pro 新発売(2004年7月28日)

電源もS2 Proの複数系統から、単3形ニッケル水素電池4本へ一本化された。6レビュー DPReviewFujifilm FinePix S3 Pro Review 国内説明書はアルカリ、マンガン、リチウムの単3電池などを使用不可としており、単3形なら種類を問わず使える仕様ではない。また、xDとCF/マイクロドライブの2スロットは、SET-UPで使う媒体を選ぶ方式で、同時バックアップ記録には対応しない。4公式 富士写真フイルムFinePix S3 Pro 使用説明書

2型約23.5万ドット液晶には、モノクロの「スルー画表示」を備えた。最大30秒間、MFや構図の確認に使え、中央部の拡大もできるが、表示中にシャッターは切れない。撮影を続けながら使う後年のライブビューとは、用途と動作が異なっていた。4公式 富士写真フイルムFinePix S3 Pro 使用説明書

ライバル機種との比較

発売期のDPReviewは、EOS 20D、ニコンD70、先代S2 Proなどと並べてS3 Proを比較した。撮像素子の階調を広げた一方、ボディの撮影機構はF80系を使っていた。6レビュー DPReviewFujifilm FinePix S3 Pro Review AFは5点、最高シャッター速度は1/4,000秒、ストロボ同調は1/180秒であり、階調を狙う撮像設計と撮影機構の仕様は分けて捉える必要がある。3公式 富士写真フイルムFinePix S3 Pro 主な仕様(11月30日更新)

開発の背景

SRIIの開発論文は、コンパクトのF700やF710などに使ったSR技術を、一眼レフへ展開する課題を説明している。広い階調を得るために2回露出する方式では、動く人物の画像がずれる。撮像素子を2個使う方式ではカメラが大きくなる。そのため、同じチップに大小の受光部を置き、1回の露光で明暗を受け止める方法を選んだ。7公式 富士写真フイルム一眼レフ用広ダイナミックレンジ撮像素子 スーパーCCDハニカムSRIIの開発(研究報告No.50、1–3頁)

高感度のS画素が暗部から通常の露光域を受け持ち、低感度のR画素がハイライトを担当する。論文ではR画素の飽和電子数をS画素の1/4、感度を1/16とすることで、4倍のダイナミックレンジを得る構造と説明している。明るい部分を受け止める余地を、感度の違う画素に分担させたのである。7公式 富士写真フイルム一眼レフ用広ダイナミックレンジ撮像素子 スーパーCCDハニカムSRIIの開発(研究報告No.50、1–3頁)

SRIIではS画素とR画素を独立して配置し、開口の大きさとマイクロレンズの集光特性を、それぞれ調整できるようにした。多様な交換レンズを使っても周辺まで均一な特性を得ることや、迷光への対応が理由に含まれている。単にコンパクト用の仕組みを大きくするだけではなく、レンズ交換式での光の入り方に合わせた設計が必要だった。7公式 富士写真フイルム一眼レフ用広ダイナミックレンジ撮像素子 スーパーCCDハニカムSRIIの開発(研究報告No.50、1–3頁)

R画素にも面積を割けば、S画素だけの画質が悪化する懸念がある。開発ではアンプ部の暗時ノイズを30%改善して対処した。これは撮像素子の開発における数値であり、完成カメラの高感度画像全体が30%改善したという評価ではない。階調拡大と、暗い部分をきれいに捉えることの両立を図った対策である。7公式 富士写真フイルム一眼レフ用広ダイナミックレンジ撮像素子 スーパーCCDハニカムSRIIの開発(研究報告No.50、1–3頁)

色の設計にもフィルムの技術者が関わった。2020年の開発者インタビューによれば、デジタルらしい色への利用者の批判を受けて共同で画作りを進め、2004年8月のF810で標準色の基準を先に確立し、同年11月のS3 Proにも採用したという。この基準が後年のPROVIAにつながるが、S3 ProでPROVIAという設定名を使っていたわけではない。8インタビュー デジカメWatchフィルムシミュレーション開発者に聞く(2020年)

利用者の評判

発売期の専門媒体と、2024年に実機を再評価した媒体では時期が異なるが、画像の色や仕上がりを評価する点は共通している。大きなグリップと縦位置での保持の良さも長所とされる一方、ファインダー像の小ささは共通する課題として挙げられた。9レビュー PRONEWS記憶に残る名機の実像:富士フイルムFinePix S3 Pro(2024年)

2026年10月1日時点の価格.com集計61人では、満足度4.73、画質4.79、ホールド感4.68に対し、操作性3.92、携帯性3.45、液晶3.36だった。発売当時の購入者全体を示す統計ではないが、投稿の集計でも画質と保持の良さへの評価が相対的に高い。10掲示板 価格.comFinePix S3 Pro レビュー評価

評判の出典

4件

内容の確認日: 2026年10月1日

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