ライカ M9 作例

ミラーレス

ライカMマウント・35mmフルサイズ・1,800万画素

2009年9月10日発売

M9の仕様

M9は、2009年9月に発表された、ライカのデジタルM型の三代目である。M8とM8.2ではAPS-H相当だった撮像素子を35mm判フルサイズに広げながら、ボディの大きさはM8.2から変えなかった。そのためにライカ専用のCCDと周辺光への対策が用意された一方、液晶やバッテリー、高感度には弱点が残り、価格は同時期のフルサイズ一眼レフEOS 5D Mark IIの2倍を超えた。

シリーズ
M
位置付け
デジタルM型で初のフルサイズ機
先代
M8
後継
M (Typ 240)
ライバル
R-D1 EOS 5D Mark II

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投稿写真 208枚

Camera Profile

M9について

発売当時の発表資料、専門媒体のレビュー、利用者の声から、この機種の位置付けと評判をまとめました。

登場した時代

M9は2009年9月9日、ニューヨークで世界同時に発表された。9が並ぶこの日付は、機種名にちなんで選ばれたとされる。当時、レンジファインダー式のデジタルカメラは、エプソンR-D1シリーズとライカのM8、M8.2、M9に限られていた。1レビュー デジカメ Watch新製品レビュー:ライカM9

国内ではライカカメラジャパンが9月10日付で発表し、ブラックペイントと新色のスチールグレーペイントの2色を、77万7,000円で9月下旬に発売するとした。2プレス デジカメ Watchライカ、フルサイズセンサー搭載の「M9」予約は全世界で予測を上回り、ライカカメラジャパンは9月18日に納期の遅れを発表して、発売予定の9月末から順次出荷するとした。3プレス デジカメ Watchライカ、「M9」の予約が想定以上で納期に遅れ

ラインナップ上の位置付け

M9は、M8、M8.2に続くデジタルのM型で、撮像素子を35mm判フルサイズ(36×24mm)に大判化した最初のモデルである。ライカはM9を「世界最小のフルサイズ・システムカメラ」とうたった。4レビュー Digital Photography ReviewLeica M9 and hands-on preview9月14日の発表会は、同時発表のAPS-C機X1、中判のS2と並べて開かれ、ライカ側からは、フルサイズやフルフレームというより世界最小ボディの「ライカ判」搭載モデルだという発言もあった。目標販売台数はM8と同程度の月産1,000〜1,500台で、日本市場にはその約10%を見込んだ。5プレス デジカメ Watchライカ、「X1」「M9」の発表会を開催

2011年6月22日には、派生モデルのM9-Pが発表された。赤いロゴとボディ前面の「M9」の文字を省き、液晶カバーにサファイアガラスを使ったモデルで、価格はM9より4万2,000円高い81万9,000円だった。M9も並行して販売された。6プレス デジカメ Watchライカ、赤バッジやロゴを省いた「M9-P」

先代からの進化

ボディ寸法は139×80×37mmでM8.2と同じまま、撮像素子はAPS-H相当から、35mm判フルサイズで有効1,800万画素(総画素数1,850万)のコダック製CCDになった。ローパスフィルターは引き続き持たず、モアレはデジタル処理で取り除く。周辺部ではM型レンズの特性に合わせてマイクロレンズを画素の中心側へずらし、周辺の光量低下を抑えた。センサーカバーのIRカットフィルターも強化され、M8、M8.2でレンズの前に必要だったIR/UVフィルターが要らなくなった。2プレス デジカメ Watchライカ、フルサイズセンサー搭載の「M9」

ファインダーでは、ブライトフレームの組み合わせが変わった。M8の24/35mm、28/90mm、50/75mmから、35/135mm、28/90mm、50/75mmになり、フィルムのM7と同じ構成になった。倍率0.68倍と基線長69.25mmはM8.2と共通で、フィルムのM7やMPの0.72倍より、ボディが厚い分だけ倍率が低い。7インタビュー デジカメ Watchインタビュー:開発責任者に訊くライカ「X1」「M9」

操作面では、M8の使い勝手に対する要望に応えた変更が多い。M8ではSETメニューの中にあったISO感度を独立したボタンで設定でき、露出補正も背面ダイヤルで直接行えるようになった。6bitコードのないレンズでも、本体メニューからレンズ名を選べば補正がかかる。1レビュー デジカメ Watch新製品レビュー:ライカM9記録形式は、M8では1種類だったDNGが、圧縮(約18MB)と非圧縮(約36MB)の2種類になった。ISO操作性の向上と非圧縮RAWは、ライカ側がM8ユーザーの要望として挙げていた項目である。7インタビュー デジカメ Watchインタビュー:開発責任者に訊くライカ「X1」「M9」

一方で、後退した部分もある。電池はM8と同じだが、公称撮影枚数は500枚から400枚に減った。撮影残数や電池残量を示すトップカバー左の液晶カウンターは省かれ、背面の液晶モニターは2.5型約23万ドットである。1レビュー デジカメ Watch新製品レビュー:ライカM9

後継のM(Typ 240)は、M型で初めてCMOSセンサー(有効2,400万画素)を採用し、ライブビュー、フルHD動画、外付けEVFに対応した。重さはM9の585gに対し、約680gになった。8レビュー デジカメ Watch新製品レビュー:ライカM

ライバル機種との比較

同時期のフルサイズ機には、2008年11月29日に発売されたキヤノンEOS 5D Mark IIがある。有効2,110万画素のCMOS、3型約92万ドットの液晶、ライブビューとフルHD動画を備えていた。9プレス デジカメ Watchキヤノン、フルサイズセンサー搭載の「EOS 5D Mark II」店頭予想価格はボディ単体で約30万円前後で、M9の77万7,000円はその2倍を超える。10プレス デジカメ Watchキヤノン、「EOS 5D Mark II」を29日に発売

これに対しライカが打ち出したのは、レンズを含めたシステム全体の小ささである。専門媒体のレビューも、M9は36×24mm機の中で当時最小最軽量で、広角から中望遠ならレンズも一眼レフ用より小さく、システム全体でフルサイズ一眼レフより小さくなるとした。同じレンジファインダーのデジタル機であるエプソンR-D1シリーズやM8に対しては、装着レンズのイメージサークルをフルに使える点が違いになる。1レビュー デジカメ Watch新製品レビュー:ライカM9

開発の背景

開発責任者のステファン・ダニエル氏は、M9で一番苦労したのはフルサイズ化だと語った。M型はフランジバックが短く、広角レンズほど周辺の光が急な角度で入るため、周辺で入射効率を落とさない工夫が要った。もう一つの難題は、M型の小さなボディにフルサイズのセンサーを収めることだった。コダックがライカのためだけに設計したCCDは、撮像面以外のパッケージを極限まで小さくしている。7インタビュー デジカメ Watchインタビュー:開発責任者に訊くライカ「X1」「M9」

ボディを大きくせずに済んだのは、M8の設計にも理由がある。M8のシャッターユニットはもともとフルサイズ用で、APS-Hの撮像素子と組み合わせて使われていたため、フルサイズ化してもボディサイズは変わらなかった。1レビュー デジカメ Watch新製品レビュー:ライカM9外装はトップカバーとベースプレートが真鍮の削り出し、シャシーがマグネシウムダイカストで、ライカはM9を最も頑丈なカメラのひとつと説明した。スタイリングについてダニエル氏は、Mのコンセプトは替えず、一目見てM型ライカであることをゴールにしたと語っている。5プレス デジカメ Watchライカ、「X1」「M9」の発表会を開催

画像処理はM8と同じくASICではなくソフトウェアで行う。ダニエル氏はその理由に、開発がS2と重なって開発力をS2に集中せざるをえなかったことと、コダック製CCDは使いこなしが難しくソフトウェア処理の方が適することを挙げた。ISO80は、絞り開放で撮りたい人の、明るい場所では最高速の1/4,000秒でも足りないという声に応えて加えたが、ISO160より高輝度側のダイナミックレンジが狭くなることをライカ側は認めている。なお、感度の下限は、発表記事ではISO80、発表会ではISO160(ISO80は拡張)とされ、資料によって書き方が異なる。新たに入った135mmのブライトフレームについても、ライカ側は測距精度が足りないので2段絞って使ってほしいと答えた。7インタビュー デジカメ Watchインタビュー:開発責任者に訊くライカ「X1」「M9」

後年には、センサーそのものへの対応も必要になった。2017年5月22日、ライカカメラジャパンは、M9、M9-P、Mモノクローム、M-E(いずれもM9ベースの1,800万画素CCD機)について、センサー前面のカバーガラスのコーティング層が劣化・剥離して画像に点として写り込む事象への対応を案内した。2017年8月15日までは購入後の期間に関わらず対策版のCCDへ無償で交換し、8月16日以降は購入から5年以上の個体について、センサー交換とオーバーホールで税込9万8,604円とした。M(Typ 240)などへのアップグレードサービスも選べるとした。11プレス デジカメ Watchライカ、M9やMモノクロームのCCD交換について告知

利用者の評判

価格.comの満足度は4.67(28件)で、カテゴリ平均の4.58を上回る。項目別では、デザイン4.79、画質4.66、携帯性4.65が高い。一方で液晶は2.77とカテゴリ平均の4.30を大きく下回り、バッテリーも3.59(カテゴリ平均4.11)にとどまる。12掲示板 価格.comLEICA M9 のユーザーレビュー・評価

長所として複数の出典に共通するのは、持ち歩きやすさと描写である。価格.comでは、常に持ち歩きたくなる、持ち歩いても苦にならないという趣旨のレビューが並び、携帯性の点数の高さとも一致する。ローパスフィルターのない1,800万画素の解像感は、専門媒体の長期レポートと価格.comのレビューの双方が評価している。撮ること自体が楽しくなるという使い心地も、両者が挙げる点である。13レビュー デジカメ Watch気になるデジカメ長期リアルタイムレポート:ライカM9【第1回】

短所として共通するのは、液晶モニター、バッテリー、高感度である。液晶は価格.comの点数の低さに加え、専門媒体の長期レポートも視認性が優れているとはいえないとした。バッテリーは価格.comの点数でも低く、公称撮影枚数がM8から減ったこととも重なる。高感度について、専門媒体のレビューは高感度時のノイズが少ないとはいえないとし、長期レポートの筆者は実用をISO800までとした。14レビュー デジカメ Watch気になるデジカメ長期リアルタイムレポート:ライカM9【第2回】

評判の出典

6件

内容の確認日: 2026年10月5日

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