写真本

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Exif情報

メーカー名 RICOH IMAGING COMPANY, LTD.
機種名 PENTAX K-3 Mark III Monochrome
ソフトウェア Utility 5 Ver.5.10.0
焦点距離 50mm
露出制御モード ノーマルプログラム
シャッタースピード 1/320sec.
絞り値 F4.0
露出補正値 -0.7
測光モード 分割測光
ISO感度 200
フラッシュ なし
サイズ 3000x2000 (3.41MB)
撮影日時 2025年07月27日(日) 15時41分
1.
kusanagi
2026/01/22 19:12

古本屋で買った、「渋谷」藤原新也著/東京書籍刊、を読みました。平成18年刊行ですから古い著作なん ですが、良い本だと思いました。ここで手首を切る感受性の高い少女の話が登場するのですけど、藤原が 主催した撮影会の公募モデルに応募したのが、その少女であり、虐められっ子で全く自信などなく日々を 過ごされているわけですね。登校できなかったりもしていますし。その消え入りそうなおずおずした少女が 自分で決めて、写真のモデルになる応募をしてきた。彼女は大変な決心をしたわけです。 そこで、写真とは何か。写真の本質とは?という問いが出できます。藤原は、写真とは今現在を絶対的に 肯定するものであり、その肯定感覚こそが写真の持つ本質であり、例えばモデルとなって被写体となる少女 にも自らを生きる自信を与えるものだと書いています。 私もそのとおりだと思います。それはモデルとなって被写体になる場合だけでなく、撮影をする側で あっても同じことであって、同じく写真というものを通じて、人は現在の今の瞬間の存在という肯定感を 得ることによって、撮影者自身も自己肯定感と自信を得るものだと思うわけです。 そういう自信には実は何の根拠もないわけですが、そもそも根拠のある自信なんてあるのかな、ということ にもなり、いわゆる自信感覚というのは本質的にどこにも根拠の無い証明不可能なものなんではないですか。 まず最初に根拠などのない、生まれ出でた混沌からの脱出の自信の芽生えというものがあって、それから 人は少しづつ歩んでいくものなんですから。 その最初の原初の細胞の一粒は、希薄なまでの、はかないまでのものであっても構わないわけです。 その少女にとって、第3者のカメラマンという存在者の眼を通して出来た自分の姿を見てみたい。それが 写真だったわけです。もちろん自分の姿など鏡を見ればわかります。女性は常に鏡を通して自分の姿を みているわけです。しかしそれと他者が撮る写真とは違うかも知れない。それにカメラマンは一流の 写真家だし。という具合で自分の存在の再発見を藤原の写真に託したのではないでしょうか。 そういうあらすじでこの本は出来がっています。全編を通して藤原の暖かいまなざしが見えてきます。 写真の本質、真髄というものが見え隠れする本となっています。 もうひとつの著作も書きましょう。 「今という永遠~写真家・繰上和美の90年」石川拓治著/幻冬舎刊、最新本です。 正直申して大した本ではありませんでした。得るものがなかったと言っていいような。著者は作家では あっても写真家ではなく、本質的に写真のことは知らない人だなって感じました。繰上の評伝となっていて そういうことでは偉人伝にはなっているのですがそれ以上ではありません。 それは別として、写真家の繰上は一流の写真家であり成功者であるわけです。上記の少女とは対極にいる 強者であり生まれ持った自信と能力を備えている人物です。そういう人物ですから体力と能力に恵まれ 幸運であり何をしても成功者となる運命にある人物です。本当はもっと写真家としての繰上本人の声を聞き たかったのですが、その肉声をレポーターの石川が邪魔をしているなと感じました。 それで写真の本質を知るには適さなかった本でした。 だいたい、写真のことを書いた本で良い本はなかなかないです。ジャーナリステックでも学術的にでも 写真を知らない人が書いてしまうので的外れが多いんですね。(そうではない本もたまにはありますが) それと写真家当人が書いてもなかなか良い本にはなりません。藤原のように写真もやれて作家でもある 両刀遣いの人物でしか、写真の本質を言葉で抉り取ることは難しいのだと思いました。

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