80-400mmレンズ 作例

野球漫画における丸刈り描写

野球漫画における丸刈り描写

 少年野球にて、バントを見事に決める2番バッター君。俊足快打の1番バッターが出塁し、盗塁を決めてバントで三塁へ進めて、三番バッターが返す、という鉄板構図。  少年野球では、ランナー一、三塁だと、一塁ランナーの二盗は、ほとんどフリー、という鉄板構図があります。理由は、キャッチャーが二塁送球する間に三塁ランナーが生還してしまうから。  その鉄板をぶち割ったチームを見たことがあります。ランナー 一、三塁で、一塁ランナーの二盗にキャッチャーが反応し二塁へ送球。当然、三塁ランナーがホームを狙うのですが、なんとこの送球がトリックプレーで、ピッチャーがカットし、三塁ランナーを三本間に挟んでアウトにしてしまいました。定石プレーが頭脳プレーに敗北した瞬間。  残念ながらこのプレーを成功させたのは、息子が所属するチームではなく、相手チームでした。  それはともかく、漫画話。  中学・高校の野球部員は、丸刈りが基本とされていますが、漫画の世界ではそうでもなく、ばっちり丸刈りを描いたのは「キャプテン」「プレイボール」(いずれも、ちばあきお作)くらいのように思います。  「ドカベン」では、スポーツ刈りないし角刈りが主流で、なかには賀間や影丸のようにはっきり長髪の選手もいます。地方大会決勝戦で、里中が熱中症気味になり、監督徳川がヤカンの水をかけて落ち着かせるシーンがあります。ここでも里中はやや長髪。  「巨人の星」でも、丸刈りにしてはみな、黒々しているし、伴忠太は明らかに角刈りプラスアルファだし、花形満は謎の長髪マサカリヘアーだ・・・というように。  しかしながら、これらは、丸刈り描写がめんどくさい、というのもあるかもしれません。  髪形が、大きな転換期の描写につながっているのが「新・巨人の星」。体当たりプレーで長嶋監督の心をつかんだ飛雄馬が、巨人復帰を認められるシーン。ここで長嶋監督は、飛雄馬に、長髪をなんとかするよう指示し、「ジャイアンツでは長髪は禁止だ」と、晴れて復帰を認めることを示唆するわけです。  アニメでは、尺を稼ぐためにか、散髪シーンもていねいに描かれています。  ジャイアンツ復帰後、姉の明子が「さわやかに短く髪を刈った飛雄馬が、3という途方もない背番号をつけてプレーする姿を見ると、泣けた」と述懐するシーンもあり、それまで長髪の風来坊体だった飛雄馬が、短髪に変わることで、プロスポーツ選手として復帰したことがはっきりわかる描写となっています。  全般に、青年漫画らしく丁寧で細やかな描写が目立つ「新・巨人の星」ですが、お色気面は皆無で、あるとすればせいぜい、明子さんのネグリジェ+花形満によるお姫様抱っこ、くらいでした。なんとかわいいものでしょう、あははは。  

未踏の10秒台

未踏の10秒台

 対抗リレーを疾走する高校生女子。部活を引退した3年生にとってはちょっと厳しいもの。それでもあっぱれな走りを見せ、声援を一心にあびる、の図。  漫画話です。  日本人男子の100m走9秒台は3人目が出ましたが、日本人女子の10秒台はまだ出ていませんね。  男子の9.99secは、世界記録に対して+4.3%程度の開きであるのに対して、女子の10.99secは、+3.3%と、より厳しいと見ることもできます。(故ジョイナー選手の10.49secを異常値とみなして、ジーター選手の10.64secを世界記録とした場合の計算)  日本人女子選手が、100m走で10秒台を記録する様子が描かれたのが、1983~87年に少年サンデーに連載された漫画「スプリンター」。作者は、「がんばれ元気」「あずみ」で有名な小山ゆう氏。  この漫画は、万能の素質に恵まれた主人公男子が、最初は無邪気に100m走に挑むが、次第に周囲の人物ともども、狂気の世界に足を踏み入れていくもので、終盤は特に悲惨な描写が目立ち、ハッピーエンドでもないことから、人気を博した長編漫画でありながら、今日において語られることの少ない漫画です。  劇中、主人公たちは疾走する中、「光のトンネルに包まれ、自分の周りの粒子ひとつぶひとつぶが感じられるような超感覚」を体験します。その超感覚のとりことなり、記録向上を図る中で、無月経症(女子)、走行中の失神による転倒で頭部を強打し廃人となる(男子)、脚部筋肉の崩壊(白人男子)といった、命そのものの危険に直面することになります。  ヒロインの日本人女子選手は、10.88secと、現在の日本記録より0.33も速い、驚異的な記録を得ますが、これは無月経、骨密度の低下、顔相の変容といった、身体に異常をきたしながらのものでした。  主人公(日本人男子)は、最後には黒人選手と世界記録を争うまでに成長するが、最終レースの勝敗をはっきりさせないまま、「あしたのジョー」に類した、生死も不明な状況で物語が完結します。  こうした展開は、小山氏がボクシング漫画「がんばれ元気」で描いたものを陸上競技でリピートしたものと言えますが、「元気」では主人公は家族のもとに生還してハッピーエンドだった点が大きな違い。 「光のトンネル」の超感覚は、最初はアスリート特有の高揚感として描かれているのですが、物語が進むにつれ、生命の限界に直面した際の脳の自己防衛機能を示唆するものに変化していくもので、ここに小山氏の冴えが伺えます。  この物語の完結から、実際に日本人男子が9秒台を記録するまで、実に30年を要し、今なお女子選手は10秒台に届いていませんが、私が生きているあと二十年かそこらの間には、達成されてほしいものです。

人見絹枝さんの岡山弁

人見絹枝さんの岡山弁

 パレードで見事に長い手足を使ってアピールするチアリーダーさん。  いまや女性アスリートもよい意味で普通の存在で、世界で活躍する日本人女性もたくさんいるのですが、今日の大河ドラマ「韋駄天」で、岡山出身の、日本女性初めてのオリンピックメダリスト、人見絹枝さんが登場しました。  演じるのは菅原小春さんという、ダンサー・振付師。    岡山弁はあらかじめ考察されていたようですが、「岡山弁を 書いた台本を標準語のイントネーションで読み上げた」感じで、 違和感がありました。ただ、期待される役どころはそこではあり ませんで、当時、並外れて体格がよいことにコンプレックスを感じ ていたという人見さんの葛藤は表現されていたと思います。  人見さんの出身地と、義姉の出身地が近く、統廃合のことを 含めれば、たぶん学校の後輩にあたると思います。この地方の 話し言葉はかなりきつい調子のもので、本当に再現してしまうと ドラマの印象が変わってしまいます(笑)  大河ドラマの方言再現は偏りがあるのもいたしかたなく、 鹿児島弁は字幕までつけて丁寧に再現するのに、伊達政宗が ズーズー弁をしゃべる例はあんまりないですね。  岡山弁がかなり正確に再現されたドラマは、榮倉奈々さんが 岡山県牛窓出身の医学生を演じた、「蜜の味 ~A taste of Honey~」で、特にお母さんを演じたキムラ緑子さんの岡山弁が秀逸でし た。キムラさんが淡路島洲本の出身で、地理的に 牛窓に近いことも多少は関係したかもしれません。  ところで、最近、「はやくしなさい」を岡山弁では「はようしねい」と言う、とネットなどで広まっているようですが、どちらかと いうと西部方面の言葉で、東部方面では「はよーせられー」(男) 「はよせられー」もしくは「はよしー」(女)です。 「死ね」はそのまま「しね」あるいは「しなれー」で、例えば 電車内で中年男性から女子高生がマナーを注意されたとして逆切れ した女子高生のセリフはこんな感じです。 「あほなおっさーん、はよしなれーよー」 (早くは、男性は「はよう」女性はやや短く「はよ」と発音するが、短気な人は男性でも「はよ」で、「はよせーぼけ」くらいの 言葉は、スーツを着た紳士でも発する)  東部方面と西部方面の人間が会話すると、岡山人同士でも 通じない言葉が多々あります。 私の母親「〇〇ちゃん、そこたっとかれー」 よめさん「ごめんなさい、何かあれしましたか?」 母親  「ええけえ、たっときゃーえーんよ」 →通訳 「〇〇ちゃん、そこを閉めてください」  岡山東部弁では「たつ、たてる」は「閉じる、閉ざす」の意味で 転じて「鍵をかける」にもなります。 私の祖母「おこよしてくらー」 よめさん「お手伝いしましょうか?」 私の祖母「ちばけられなー、できらーや」 →通訳「小用を足してきます」「ふざけないでください、自分で できますから」  「おこよ」は「小用(しょうようを転じて、こよ)」を意味 する岡山東部地方の方言ですが、他の地方にも見られるものの、 少なくとも岡山では女性言葉として使われており、男性は普通に 「しょんべん」(あるいはしょんべーん、じゃんべんなど、地域 差はある)と言います。