ニコンのCSR報告書にある山本哲也氏・笹垣信明氏の説明によれば、D3発売直後から利用者の意見を集め、高感度特性の追加改善を目標として開発を始めた。マイクロレンズと画素部を改良し、光を取り込んで蓄える能力を高め、内蔵アンプの特性を最適化して、特に暗部のノイズを抑えたという。9公式 ニコンNikon CSR REPORT 2010 詳細版 12ページ 超高感度デジタル一眼レフカメラ
開発者の古山久樹氏・姜華氏による技術解説は、受光部までの構成、蓄積できる電荷の容量、複数段アンプのゲイン配分を見直し、画像処理と合わせて最適化したと詳しく説明する。画素数が同じでも、光を受けて電気信号として取り出すまでの設計は変更されていた。7公式 日本写真学会/ニコン開発者デジタル一眼レフカメラD3S 古山久樹・姜華 日本写真学会誌73巻2号94–98
ISO102400相当は、開発の最初から定めた上限ではなかった。CSR報告書によれば、当初はD3と同じHi 2までを想定していたが、ISO12800の画質を追求する中で可能性が見え、開発後半にHi 3へ挑戦することを決めた。高感度の最大値は、通常感度域の改善を進めた結果として追加されたのである。9公式 ニコンNikon CSR REPORT 2010 詳細版 12ページ 超高感度デジタル一眼レフカメラ
センサー清掃も、D3で一度は断念した課題だった。FXと視野率100%のファインダーを組み合わせる構造内では、当時は必要な性能を満たせなかった。D3Sでは空間を捻出し、限られた場所でも高い振動性能を得られる圧電素子を採用して、クリーニング機構を実現した。7公式 日本写真学会/ニコン開発者デジタル一眼レフカメラD3S 古山久樹・姜華 日本写真学会誌73巻2号94–98
実装した機構は、ローパスフィルターを4種類の共振周波数で振動させる方式である。ニコンは、FXかつ視野率100%の機種として初めてのイメージセンサークリーニング搭載と説明した。3公式 ニコンデジタル一眼レフカメラ ニコンD3Sを発売
D3やD3Xと併用するプロが多いことも想定し、外観と操作配置の変更は必要最小限に抑えた。マイクや新しいボタンを加えるため、スピーカーなどの配置を調整している。動画にMotion-JPEGを選んだ理由も、必ずしも高性能でないPCで滑らかに再生・編集できることだった。性能を加えながら、既存の撮影機材や作業環境の中で使えるよう配慮した設計である。7公式 日本写真学会/ニコン開発者デジタル一眼レフカメラD3S 古山久樹・姜華 日本写真学会誌73巻2号94–98