レトロの思い出
安芸太田町の「木炭自動車とレトロ車館」にて。
No.464という札をつけたラジオは、私のいとこも所有していた1970年代前半の深夜放送対応ラジオ(松下電器製品)。
FM放送も短波放送も聞こえる高性能ラジオで、深夜放送対応というのは、小さい音量でもはっきり聞き取れるよう特徴づけた音質と、眠りにつきながら電源をオフできるスリープタイマーが装備されている点。
「無線おじさん」(故人)は、家電メーカーに勤めた技術者で、早期退職したのちは高等専門学校の教官として後進を育てた人物。子供むけの電子工作教室を世話していたこともあり、私がその教室に参加していた頃からのつきあいです。その教室OBが、教室閉鎖後もつきあいがあって、特に、技術畑に進んだ人がOB会のようなものを世話して、無線おじさんの晩年まで集まりを続けていました。
私は理数系に弱く、電子技術の道には進みませんでしたが、写真趣味を始めてからは、半ば撮影係としてその集まりに係わることが多く、5,6年前に「70年代のビンテージ無線機一式を、当時のカタログ写真を再現する形で撮影する」というこの会の企画に駆り出されたことがあります。
ビンテージ無線機といっても、金庫のダイアルのようなメカニカルなつくりと、アニメに出てくるようなパラパラと数字が変わるデジタルディスプレイが共存していて、松本零士漫画に出てくる機械のような重厚な雰囲気があって魅力的でした。問題となったのは、カタログのバージョンによって、そのデジタルディスプレイの色が異なるということで、機材を持ち込んだ人々の中には「表示色が異なるバージョンがあるはずだ」と主張する人もいました。
私は写真を多少でもかじった立場から「おそらくその色の違いとは、フィルムのデイライトかタングステンかの違いが、印刷に反映された結果であろう」と意見具申し、ホワイトバランスを変えた撮影でカタログ写真に近似したものを再現して、納得してもらいました。
静物撮りは得意種目ではありませんが、こういう企画は楽しいものでした。撮影が終われば、無線おじさんの奥様が腕を振るった手料理と、参加者が持ち寄った酒類で宴会が始まるもので、そちらが楽しみというのもありましたが。
こういう人々を見ていると、「モノより思い出」という言葉が妄言虚言であることが理解できて、「モノにも思い出」が正解なのだと思うところです。
無線おじさんをしのぶ会を行おうという声もあるのですが、新型コロナで実現していない。