シャッターよ、響け
夕日を待つ、夜勤明けの午後。
「ここの眺めがいいって話を聞いて来て見たんだけど・・・・」わざわざ大阪から来たというこのカメラマンのオジサンがちょっと残念そうなのは、濃い春霞がアルプスを隠しているからなのでしょう。
「夕方6時に、もう一回来てください。今日はきっと、素晴らしい夕日が見れますよ。」
暇つぶしにいじっていたスマホの電池が尽きるころ、日没がやってきて、代わりに下からオジサンがフーフー言いながら三脚を抱えて上ってきました。
霞を貫く常念岳のシルエット。安曇野の王者。「うぉ~!こりゃあすごい!」 ほらね、言ったでしょ!
「あんたの話聞いてよかった。ありがとう!」はしゃぐオジサンを見て、誇らしく、嬉しかった。
私も負けじとファインダーをのぞく。夕日が、高台に響く二人のシャッター音を時計代わりにするように、じりじりと沈んでいきました。