小説版「雪風」長谷川康夫著、という文庫本を読みました。これはこの夏、8月に上映される
映画の小説版ですね。
駆逐艦雪風は戦艦大和と並んで太平洋戦争当時の人気の艦船です。幸運艦とも呼ばれました
が、その実力は折り紙つき。何の役にもたたなかったが人気だけはある大和と好対照の存在
とも言えます。
占星術では基本的に人を占いますが、人以外でも法人も占いの対象になるというのは既に
記しました。それで擬似的な存在である艦船もその占星の対象になり得ます。
船は、起工、進水、竣工と3つの期日が書かれていますが、大事なのは進水の日付ではない
かと私は考えます。進水式は船が始めて海水に浸かる時です。竣工は艤装が終わって完成
した時ですね。
占星術的に一番大事なのは進水日であると考えて、それで雪風を見てみますと、雪風の太陽
は牡羊座の初め、月は牡牛座、そして火星は山羊座の初めです。
牡牛座は幸運といわれる星座で人気があります。しかし圧倒的な実力があるとされるのは
牡羊座と山羊座です。カーディナルサインと言われる基本的な星座で能動的であり自己実現
の星座です。そして男性的ですね。(雪風は竣工日も実力の星を持っています)
大和なんかは進水日が太陽と火星が二つとも獅子座なので人気の権化というところがありま
す。まあ打って出るというよりも迎え撃つというタイプですか。
本当は雪風の進水日の時刻も必要なのですが、残念なから時刻までは不明でした。
それで参考までに画像には、進水時刻の分かっている(吉村昭の「戦艦武蔵」より)戦艦武蔵
の出生チャートと沈没時のチャートを挙げています。左側が進水日の出生チャートといえる
もので、右側が沈没時のトランシット(現在星図)です。
出生チャート(ホロスコープ)は太陽と月と水星が蠍座、火星は天秤座、ASCアセンダントは
射手座です。実力・能力のある一流星座は火星のみであり、蠍座は二流、ASCは三流です。
そして太陽と月は土星や天王星(冥王星とも)という凶星と絡んでいて、あまり良い運とは
いえません。
初歩的な占いですが、出生時のホロスコープの太陽や火星にトランシットの火星が凶角を
持ちますと事故やトラブルなどに気をつけないといけないのですね。この場合は、トラン
シットの火星は蠍座となって、ホロスコープの太陽と月に合、コンジャンクションとなり
ました。占星術的にはこの火星が武蔵を沈没させたというわけです。
船舶というのは生命を持ったものではないのです。ただの物であり物質の塊の機械です。
そんなものに生命の宿るわけはないのですが、しかしながら、そうではなくて人間の方が
そのモノに対して生命的な意味を付加するわけです。そういう多くの人間たちの無意識と
いうものが、擬似的に武蔵という艦船に命を与えるというわけですかね。
そして武蔵はその付与された運勢にしたがって戦歴を重ねていくというわけです。たった
4年しか寿命がなかったわけで、戦時とは言え儚いものです。
大和型戦艦の大和、武蔵、信濃はすべて不運であり実力を発揮することなく戦火に晒され
沈没しました。興味深いことに雪風はその全ての艦と作戦を共にしています。戦艦は沈み
雪風は生還したわけです。
巨大な戦艦は膨大な戦費をかけて将来の活躍を嘱望されながら建造されたわけです。人間で
言えばお金持ちの地位の高い家柄の御曹司だったわけですね。大切に育てられ期待された
生まれだったわけです。
他方、雪風は駆逐艦ですから消耗品みたいなものです。貧乏人のどうでもいい、その他大勢
の中の一人みたいなものです。しかし雪風には天が味方をした。能力の高い実力の星を抱え
て生まれてきたわけです。
占星的に良い生まれをもった雪風には、優れた乗組員が集められ、これまた優秀な艦長が
あてがわれたわけです。それに元々駆逐艦としては優れた設計をもってして生まれました。
しかし同型艦として生き残ったのは雪風だだ一鑑だけでした。
浮沈艦としてうらやまれた大和や武蔵が呆気なく沈み、消耗艦の雪風が生き残った。皮肉な
ものです。雪風は大和の乗組員も救助しているわけです。戦後は引揚者の運搬、そして賠償
艦として中華民国の旗艦にもなっています。
雪風と大和武蔵の運勢は大変な違いとなっているわけです。それらの全ては運勢のなせる
技です。いかに良い生まれの星を持つことが大事であることか。もうそれしか言えませんね。
今回は牡羊座という星座が出てきましたが、アクティブ ナンバーワンの星です。
この牡羊座は東の方位であり、私が就寝時に東に頭を向けて寝るということの占星術的な
根拠となっています。そして歩くことは牡羊座そのものであり、なによりも健康と体力を
司ります。