無題
Exif情報
メーカー名 SIGMA
機種名 DP1
ソフトウェア SIGMA Photo Pro 5.5.3.0001
レンズ 16mm F4
焦点距離 17mm
露出制御モード ノーマルプログラム
シャッタースピード 1/160sec.
絞り値 F8.0
露出補正値 -0.3
測光モード 分割測光
ISO感度 100
ホワイトバランス オート
フラッシュ なし
サイズ 1760x2640 (4,314KB)
撮影日時 2012-12-24 08:11:41 +0900

1   k   2014/10/20 21:14

山ではなく、谷の写真です。
シグマDP1無印での撮影。
石鎚山、山頂より撮影。

山があるから谷があるのではなく、まず谷が形成されるから結果として
山ができるのに過ぎない。
造山活動によって隆起した始原の山は巨大な丘であり台地であった。
その台地が永年の水の侵食活動によって谷が形成され、たまたま硬い
岩石の部分が、結果として山となって残っている。

その極端な例は讃岐平野のお椀型の山や台形状の山なのだが、この
石鎚山系にしてもその成り立ちにさほどの違いはない。
それにしても、この谷の部分に存在した膨大な岩石や土砂の行方は?
もちろんそれは古瀬戸内を埋め立て、現在の瀬戸内海の水深がたった
20メートルしかない平坦な盆地にしてしまったのがその証拠である。
(ちなみに古吉野川は、讃岐平野を流れ備讃瀬戸に河口を持っていた)

もっと凄いのは、日本の屋根である中部山岳の、その失われた土砂は
天文学的な量であるはずだが、それは、東海地方の河川から太平洋に
流され、さらに静かに海底を伝わり流れ、今の南海トラフとなって、
海底盆地を形成してしまったのである。
南海トラフが、日本海溝や小笠原海溝のようにさほど深くないのは、
(だから海溝ではなくトラフと言う)、もともと中部地方の始原の山から
絶えず供給された土砂で埋め立てられたからなのだ。

2   s   2014/10/21 17:43

山と谷は同時進行でできあがる。ってことですね^^

3   k   2014/10/21 23:39

>山と谷は同時進行でできあがる。ってことですね^^
ご名答です。(笑) でも、それが解る人ってなかなかいない
んですよ。山だけ地上から今の形に盛り上がったんじゃないか
って思っている人が多いんです。
でもそういう山もあるんです。火山なんかそうですね。

とにかく山が今のとんがった山容になっているのは、水の侵食
作用によるものです。氷河の侵食っていうのもありますね。
山が尖れば、同時に谷は深くえぐれます。
高い山と深い谷があるところ、それが日本です。(台湾もそう
でした) 世界中でそういうところを探すと、そこに住む人たち
って何故か好戦的ではなくて平和な人たちが多いんです。
好戦的な人たちは大平原に住む人々ですね。

谷といえば、海に隠れて見ることができませんが、海溝という
視点を入れれは、日本列島は、すなわち日本山脈でもあって
その高低差はべらぼうなことになります。
敦賀湾、相模湾、富山湾などは、山から一気に深海にまで
続いているので、そういうのはグーグル・アースを見ればよく
理解できるかと思います。

さて、この写真を見ていただくと、真ん中の緑の部分は人工植林
の杉なんです。比較的傾斜が緩やかな谷の部分になります。
一体どれほどのヘクタールなのか想像できないほどです。
谷には必ず水が川となって流れています。その水のおかげて
植林が成り立つわけですし、さらに下流には集落があり水田
があります。河口に近い平野では、伊予西条市ですが、伏流水
が豊富で上水道や農業用工業用の水にと利用されています。

水は資源であり、水力発電とすればエネルギーにもなります。
それには全て水を保つ谷の働きなんですね。
たがら敢えて山ではなく、谷だと申し上げたわけです。
しかしながら、谷は水があってこその谷であり、もし雨が降らなけ
れば谷は只の凹みでしかありません。谷にダムを作っても無駄
というものです。

それではなぜ、この石鎚山系に雨が降るのかというと、そこが
高い山だからです。雨雲は1千数百メートルを越えなければ雲を
捕らえられず、したがって雨を降らせることができないのです。
さぬき平野に点在する数百メートルの山では上空を雲が通過する
だけなので、有用な山はある程度の高さが必要なのですね。

ここに写っている大きな谷は西条市の加茂川流域で、それは
瀬戸内の燧灘に流れ込んでいるのですが、この写真の中央のある
山頂が窪んだ山が瓶ヶ森なのですが、その右側向こうが吉野川
の源流地と言われるところです。そちらは吉野川水系となります。
そしてさらにその向こうに高知県大川村があり、早明浦ダムのある
所です。そこは四国の中央と言ってよく、膨大な雨が降るところであり
その雨水が四国の人々の工業や生活を支えていると言ってよい
ほどです。

ちなみに瓶ヶ森とはなぜそういうのですか?と登山客に聞きましたが
誰も本当のことは知らないようです。山の湧き水に土瓶があるからと
言う人もいました。確かに瓶はあるんですが、それは後付なのでして
本当は、この山系が四国の水甕であることを意味しているんですね。

山よりも谷だと言いましたが、そうは言ってもやはり雨雲を捕らえること
のできる高い山があるからこその豊かな谷なんですね。
ですから、やっぱり山は偉いんです。(^^;
私が撮影した場所はだいたい2千メートル近い場所です。木曽御嶽山
の3千メートルに比べれば千メートルも低いのですが、雨を降らせる
には十分な高さです。こういう山があるからこそ、我々は豊かな生活
ができるんですね。

もっと言いますと、大陸の東側は降雨の多い地域です。日本列島は
ユーラシア大陸の東側にあり、とりわけ世界の屋根と言われるチベット
高原のお陰でモンスーン気候の恩恵を基本的に受けています。
さらに東シナ海や日本海の蒸発する雨雲、太平洋が産む台風の雨
など、降雨の条件に恵まれているんです。

この山と谷は、四国の財産なんです。石鎚山は古代より山岳信仰の
メッカですが、信仰となるべき当然の自然体系を備えているんですね。
この山々と、巨大な空間を誇る谷によって水が生まれ、我々はこうして
生きていられるんです。
ここは本来、神々が住むところであり、下界の私なんぞが立ち入るべき
ところではないのですが、敢えて神々の視点に立って撮影させて
いただいたということなのです。非常に有難いことだと思っています。

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