左がEXIFの日付、つまりこの秋シーズン、渡去していくところを撮影したノビタキ。右はこの春の渡来時の撮影。同一個体であるかどうかはもちろんワカリマセン。
夏羽・冬羽の違いも楽しめ、広島では旅鳥として風情も感じる存在ですが、数年前、「ジオロケーター」なる計測機器をノビタキに装着し、北海道から東南アジア方面への渡りルートを解明した研究成果が、国立研究開発法人森林総合研究所、北海道大学、山階鳥研などによる国際共同研究チームから公表されています。
日本列島を縦断せず、一気に大陸にわたって南下するルートが解明されたわけですが、そうなると広島で見かけるノビタキはどこで夏を過ごす=繁殖しているのか、気になるところです。20世紀末には広島県北部でノビタキの繁殖例が観察されていますが、最近は観察されていません。
漫画「サーキットの狼」後半の名勝負「ルマン・イン・ジャパン」の舞台となった栃木県「戦場ヶ原」も、ノビタキの繁殖地として有名だそうです。モータースポーツの漫画に野鳥は縁遠く思われるが、六田登「F」では、F1レースにおけるバードストライクが描かれており、史実のレースにおいてもバードストライクを直接の原因とする死亡事故は発生しています。(1960年ベルギーグランプリにおけるアラン・ステイシー)
話をジオロケーターに戻しまして、なんだかガンダム世界に登場する名前でもありますが、渡り鳥の経路調査に非常に有効な、チップ状の計測機器です。大型の野鳥には発信機能のある装置(発電パネル付き)も装着可能ですが、小鳥にはそれは無理なので、発信機能なし=回収してデータを取り出すことを前提とした計測になります。
よって、経路計測と同時に、渡り鳥の帰還率を大まかに調べることもできるもので、先のノビタキの調査例では、標識した51個体のうち、12個体が回収できたとのことですから、おおむね24%弱の帰還という数字。
ジオロケーターによる調査結果いろいろ
https://ideacon.jp/technology/inet/vol56/vol56_new01s.pdf
https://business-map.esrij.com/news/3750/
https://www.ffpri.affrc.go.jp/press/2016/20160822-01/documents/20160822-01.pdf
夢広がる野鳥オタク・ワールド、でありました。