無題
Exif情報
メーカー名 SONY
機種名 α7S
ソフトウェア Capture One 8 Windows
レンズ
焦点距離
露出制御モード ノーマルプログラム
シャッタースピード 1/1000sec.
絞り値 F0.0
露出補正値 -0.3
測光モード 分割測光
ISO感度 100
ホワイトバランス
フラッシュ なし
サイズ 2048x1368 (1.21MB)
撮影日時 2014-01-07 23:55:25 +0900

1   kusanagi   2023/1/29 20:23

その①
長らく自分が使うレンズはAFでないと無理だなって・・・というのが私の考えだったんですが、ひょんな
ことからMFレンズに行き、ミラーレスカメラであれば十分にMFレンズで行けそうだという感触を得ました。

マニュアルMFレンズには大きく分けて2つあります。電子接点のあるレンズと接点が何もない古いレンズ
です。2つのレンズ群の一番の違いは絞りが自動で動くかどうかですね。それとイグジフ情報が得られる
かどうかもあります。
現行のコシナや海外製のレンズは電子接点のあるMFレンズです。
こういう新しいMFレンズは使いやすいです。そしてレンズ自体が新しいのでデジタル時代に対応した画質
をもっています。しかし電子接点のないオールドレンズは撮影に対して少し工夫が必要です。ただピントを
手動で合わせるだけでは十分ではありません。

それで私はこういうオールドレンズを使う場合に際して・・・
ひとつは画素数の低いミラーレスカメラを使うということ。それでアルファ7Sを使おうと思ってます。7Sは
電子シャッターが備わっていますのでEVFを覗きながらシャッターを押すことができます。ミラーレスカメラ
の場合、メカニカルシャッターでは猛烈な電磁波が発生しますので通常は顔面を離した背面モニターで
撮影するのが基本です。それが電子シャッターが備わっていればファインダーを見ながらの撮影が可能
です。そして低画素カメラの場合は解像力の乏しいオールドレンズでも問題がありません。無駄な高画素
は必要がないということですか。

そしてもうひとつは、絞りの問題ですが、絞りF4くらいならばカメラの画面拡大機能でもってピントが合う
ということでした。レンズの絞りを解放にしてピントを合わして、絞ってレリーズという手順を省略できると
いうこと。これだと現行の接点付きMFレンズと同じようにスピーディな撮影が可能です。
もちろんきっちりと合ピントをしたければ、絞り解放で合わせてレリーズ時に再度絞るということになりま
す。

MFレンズはAFレンズとは違った撮影が可能です。ピントをあまり厳密にしなければAFレンズよりも素早
い撮影が可能です。それとMFレンズは被写界深度の深いレンズが多いんですね。無論50ミリや35ミリ
レンズでの話です。別の言い方をすれば大雑把なレンズが多いということですか。(^^ゞ 
まあとにかく多少のオールドレンズの在庫が私にはありますので、これから使えていけるかなって考えて
います。ソニーミラーレスカメラと、マウントコンバーターの助けを借りればありとあらゆるオールドレンズ
が使用可能となります。

ただ気をつけなければならないのはどうしてもEVFの使用率が高くなりますので眼を大事にしなければ
なりません。可能な限り背面スクリーンでもピント合わせを心がけたいものです。そしてAFレンズ撮影と
MFレンズ撮影は両者合わせて並行して使って行くということも大事ですね。眼のために良いのはやはり
AFレンズでの撮影ですからね。やはりピントお任せのレンズは眼に優しいです。

その②
オールドレンズへの道が開けますと、レンズというものの幅が大きく開けます。最新のAFレンズしか知ら
ないというのでは写真画像に対する知見がどうしても狭くなりがちです。レンズというものの数だけ人は
ものを見る目を持つことができるということであって、古今東西の幅広いレンズの複合的な眼を持てれば
随分と面白いのじゃないかって感じます。

ところでソニーという会社はゲーミングの会社でもあるんですね。それで写真の会社であるキヤノンや
ニコンとは違った考え方を持っているように感じます。メジャーなカメラ企業は異種レンズを着けて写真
をするという発想がないように思われますが、ゲーム業に長けたソニーはそれを難なくやれてしまうと
いうところがあったからこそ、アルファミラーレスカメラに何のレンズでも着けられるようにしたんだという
ことかもしれません。なんというか異種レンズ遊びを推奨しているようなところもあるじゃないですか。
こんなのはニコンやキヤノンのミラーレスカメラではできないのではないですかね。

オールドレンズの資産が使えるようになったからといって、やはり何でもかんでものやり方はしないで
いこうと思ってます。あくまでも35ミリや50ミリ単焦点レンズを使うということが主目的だったわけですの
でその路線は今後も踏襲していこうと考えてます。
MFレンズに向かったのは、私が気に入っているシグマ40ミリ35ミリに対抗できる、もしくは超えるかもと
いうレンズを使いたかったというだけであって、そのレンズがたまたまMFレンズであっただけの話です。
そんなに大した理由からMFレンズに向かったわけじゃないんですね。

ただ私が写真を始めた若い時期はMFレンズしかありませんでしたし、ズームレンズも殆どなく単焦点の
レンズばかりでした。そういうことでは図らずも昔の自分に戻るような結末になっているのかなって感じ
ます。とくに35ミリ大好きでしたし50ミリも良く使いました。そこら辺りは私の写真の原点であったという
わけですね。
歳をとって新しいことをするのは私の趣味じゃありません。高齢者の方が好んでプリウスやEVカーを乗る
のは妙だなって感じてますし、スマホではなくケイタイで十分と考えている自分です。歳をとって慣れない
ことをするんじゃなくて、昔の杵柄を生かすほうがよっぱど理にかなっていると考える私です。

その③
35ミリから60ミリの標準レンズをストックの中から物色しておりますと、中判レンズという選択もあるなあっ
て思い、そのレンズの中のひとつにコンタックス45ミリf2.8というのがありました。645判のレンズですね。
ところがカビが生えていました。(笑) とはいえ初期症状のケースでしたのでこのままで行けるかなって
試すと、やはり全面にブツブツのカビが来ていたのでスリガラスを透したようにしか写りません。
それで自分で清掃することにしました。何度か目のトライでやっとレンズを分解することができ、前玉群の
最後にカビ面が出てきました。これを綺麗に拭き取ると新品同様、成功しました。

上手く行かなかった例もあって、コンタックスN AF50ミリF1.4のレンズ。すこしクモリがあります。かなり
頑張って前玉3群を完全にばらして、最後のレンズにクモリがあるのは分かりましたが、洗っても拭いても
曇りがとれません。最後には有機溶剤トルエンを使ってもとれません。何かのコーティングが劣化したの
かもしれません。しかしまあ使えないことはないのでこのままで使用します。
AFレンズの分解は厄介ですね。このコンタックスはまだ金属素材だったんで分解できましたが、ヤスリ
やカニ目ドライバーの引っかかりを付けながらの分解作業でした。接着部分はシンナーで溶かしながら
で。(AFレンズは精密にネジ止めしてますんで接着剤で止めてるんですね。オールドMFはそんなことは
してません)

ところで一番厄介なのがバルサム切れです。ストックの中でも何本なのレンズがその症状が出ています。
1本は溶剤漬けで剥がれましたが、普通はそう簡単にはいきません。
こういうのが参考になろうかと思います。
「カメラレンズ 曇り バルサム剥がし COLOR SKOPAR 35mm F2.5 L」
https://www.youtube.com/watch?v=6WaQLX89iYM


コンタックス645判45ミリf2.8は素晴らしい写りをします。以前ニコンやイオスでも確認済みなのですが
ソニーアルファでも同様でして、私の場合は電子接点付きのアダプターではないので開放値F2.8でしか
使えませんが、十分に満足です。私が気に入っているレンズでは10指のうちにいるでしょう。

コンタックスN AF50ミリF1.4はやはり実写しますとアカンです。特に半逆光だとハーフトーン状の画像に
なります。それでもう一度、修理に挑戦しようと考えてます。今度は研磨剤を使おうかと。酸化セリウム
入りの研磨剤が強力だとのこと。もっとも失敗すれば、もうそれまでですけどね。

中判レンズでマミヤ645 45ミリF2.8というのもあって、これもなかなか良い写りをします。ただピントの
ヘリコイド回しが重くて実に使い辛い。それでこれも分解して(今度はレンズ部ではなく機械部分)、古い
グリスを除去して(ネジ部分にアルミ粉が粘りついてました)、新しいグリスに交換しました。
AFレンズではなくMFレンズでしたのでそう難しくはなかったんですが機械部はほぼ知恵の輪状ですし、
止めネジが小さくて苦労しました。

自分でオーバーホールをすると時間を食いますのであまりしたくないんですが、既存レンズを生かすと
いうことで3本ほど頑張ってみました。
ペンタックスの67や645のレンズにも気に入っているのがあります。幸いにペンタのは不具合がなかった
でありがたいです。こういうのは運というか。このペンタ中判レンズは手持ちの645デジタルで使えるので
何もアルファで使う必要はないのですけどミラーレスカメラで使うということでは意味がありそうです。


中判レンズなどの重いMFレンズを使うということ。とくに背面液晶で合ピントということになりまと、腕を
上げて前に差し出すという体勢になり、なかなかに上腕筋の鍛錬になることを発見しました。(^^ゞ 
AFレンズだとサッと撮影ですので上げた腕をスティホールドするまでもないわけてすね。ところがMFレン
ズできちっとピントを合わせようとなるとスピーディには行かずで、カメラを持ち上げたままの静止状態を
保たなければなりません。これが運動になるのだということを発見したわけです。
AFレンズに比べて歩く距離は短くなりますが上半身を鍛えられるのは嬉しいです。

中判MFレンズをアルファに装着するとなりますと、マウントアダプターを最低でもひとつ、多ければ三つ
という具合になり、見た目が満艦飾になりゴージャスな雰囲気となります。(笑) レンズも大きいので
何だか凄そうなレンズを着けているわい、ってな具合で素人さんは見てくれるんですが、実際のところ、
中古MF中判レンズは格安ですし、アダプターも電子接点のないやつは安価です。
そしてこの異形さが一般の人の眼を引くようでして、以前、そのカメラすごいってオバちゃんに言われた
ことがあります。普段は見ることができない異形の美とでもいいますか、そういうのはシグマのカメラも
そうでしたね。

反対に、小さなライカMレンズなどもアルファには着くわけでして、これまた異形スタイルとなります。
普通とは違うことをしたいとなればミラーレスにアダプターを噛まして異種レンズを着けるのは面白いの
ではないでしょうか。こういう馬鹿みたいな機材は、考えてみればスマホで撮影ということとは対極にある
カメラということになります。
アイフォーンでソニーの埋め込みカメラで写真を撮るっていうことが普通であれば、そういう一般良識から
はみ出したことをするのも一興ですかね。イベントで大きなアイパッドで撮影をしているがいましたが、
そういうのに通じるケッタイさがあって面白いです。


『マウントアダプターの愉悦』という言葉が昔に言われたことがありますが、当時は一眼レフどうしで異種
メーカーのレンズを着けることでしたが、デシタル時代ではミラーレスカメラに何でもレンズということに
なりました。こうい純血主義とは真反対をいく合いの子戦術。ハイブリッドでありコラボレーションと今で
は言うんですかね。
アダプターで注意しなければならないのは、メーカー補償などは一切ないので全て自分で自己責任でや
らないといけないということです。噛み合わせの悪いものも数多くあり、分解やヤスリ掛け、テープ貼りな
どは常套です。内面反射がでるものもありその対策も必要です。それらを全て受け入れる覚悟が必要で
オールドレンズの分解等々も含めてかなりのスキルが必要です。

こういうことを素人なりにやっていますと、如何にレンズなどの機材を製造するのが大変だということが
身に沁みて分かってきます。写真を撮るのも簡単ではないでしょうけど、本当はその以前に機材というも
のの存在自体が大変にありがたいものだというのが分かるようになります。
写真を趣味とする人は当然のようにして、カメラ屋に行ってこれこれが悪いと文句を言うのですが、それ
を修理してくれる人達がいてやっと写真趣味は成り立っているんですね。金を出しているから当然だ、
という考え方はよろしくないです。


使いやすいソニーのミラーレスでもっても、やはりピントが合わせやすいのは単焦点レンズです。ズーム
レンズだと拡大してもピントの山が見え難く撮影では四苦八苦しますね。改めて単焦点レンズとズーム
レンズの違いと言うものがわかります。
中にはアダプターに電子接点や、レンズ本体に機械的絞り機構のないレンズもあり、それらは開放値で
の撮影をしなければならなくて、やはり使いやすいのはある程度のF値があり、単焦点でかつ広角レンズ
は避けるということになりますか。自分でピントを合わせるようになりますと、各々のレンズの特性という
ものが理解できるようになりますね。

望遠レンズやマクロレンズは合わせやすいです。一番難しいのは広角ズームレンズですね。ですから
広角ズームレンズをカメラが自動でAFしてくれるというのは大変な技術なんだろうとわかります。
そう考えるとAF機構って実にありがたいものです。同様に手振れ補正機構も凄いもんです。そういう技術
を我々は当然のこととして使っているわけですけれども、そういう技術のお陰で下手なカメラマンでも写真
ができるということなんでしょう。


オールドレンズは解像感があまりありませんね。それと古いので発色が発売当時とは違っているはずで
す。どうしてもアンバーに寄るようですがこれは色調整でなんとかなりますか。
しかし本当の意味での解像力、つまり各種収差の補正は難しいですね。これは諦めるしかありませんが、
これが中判のレンズだとフルサイズのカメラで使う部分は真ん中だけなので有利になります。やはり中判
レンズは良い描写をしてくれます。
描写のヌケの良さはさすがに最新レンズは凄いです。非常に透明感があり裸眼で見るのと変わらないと
いうか、加齢で弱くなった眼よりも良く写ります。(笑) 
そうはいっても、何事もレンズには個性があり、欠点も個性のひとつだとすれば納得がいきます。

最新レンズは解像力を重視するあまり発色がコントラストがイマイチですね。全体的に暗い感じで写りま
す。これはカメラのセンサーでもそうです。フィルムカメラの鮮やかさとは違う世界に突入した感じです。
でもまあ、それが時代の流れのようなものですので、古いイメージの画像を得たければオールドレンズ
を使うという手があるんですね。

とにかく我々が撮影をする時、その使用するレンズには信頼を置いているわけでして、それが、このレン
ズはクソだなって思いながら撮影をしていくことはできません。どんなレンズであってもその個性を認めて
使えば期待に応えてくれるはずです。
ヤレたレンズでも自分でオーバーホールして、ここまでは出来たということであれば納得のいくものであり
そういうレンズでも愛着を持って使うのはよいものです。
何でもかんでも金にモノを言わせて高級レンズを使って写真をやるっていうのは、そういうのは趣味として
長続きしないと思われます。ジャンクレンズを自分で直しながら撮影をするほうが遥かに写真としては
健全であろうかと思えるのです。


キヤノン板 F.344さんの投稿です。
https://photoxp.jp/pictures/222172
渋いですね。この写真は。私の好みの光景写真なのでしびれます。こういう写真を撮ってくれる人がいる
からこそ、私もなかなか写真趣味から足を洗えません。(^^ゞ 写真とはほんとに良いもんですね。

ところでこの写真、50ミリでの撮影です。良いなって思ったことのうちには、この50ミリの描写というのも
あるんではないかなって感じました。35ミリから55ミリという標準画角というのは自然な描写をしてくれる
といいますか、不自然なところがないのです。
F.344さんの投稿写真を遡って観ておりますと、やはり深く傾倒するのはやはり35ミリから50くらいの標準
レンズで撮影したものです。広角や望遠だと、いかにも写真だなって感じますが標準だとその写真に入り
込むことができるという気分になります。広角は醒めた感じで、望遠はちょっと遠い世界のように思えま
す。(100ミリくらいまでは標準領域としても良いかも知れないとも思えてきますが)
そしてなんといっても標準ではその場で自分が居るように感じられるんですね。その場の雰囲気を感じる
ことができる。この違いは大きいですね。


マウントアダプターでもってオールドレンズを使うのは、所謂レンズ沼かというと、それはちょっと違うという
気がします。時間と労力という点では沼なんですけど、比較的に財布には優しいんですね。オールドレン
ズは中古市場に溢れていて格安モノばかりです。私も手持ちに相応数のレンズやアダプターが既にあり、
それらをこれから実践で使えるようにしていきたいのですが、そんなわけでお金はほとんどかかりませ
ん。しかし手間と時間は相当にかかる覚悟が求められます。
オールドレンズが手持ちになくても購入には安くて済む。しかし古いレンズは万全のものはないので何ら
かの手直しが必要で、それに時間と労力をとられ、とにかく次から次へと購入しても意味がありません。

オーバーホール沼にあまり入らないようにしてボチボチとオールドレンズを復活させていこうかと考えてい
ます。自分で手作業でやっておりますと、もう新しいレンズは欲しくないという気分になります。今ある機材
でも持て余しているわけですからね。

コンタックスN50ミリ1.4レンズは、再度研磨剤を購入して研磨を続けています。今度は酸化セリウム入り
(レンズメーカーが使っているのと同じ成分でしょう)ですので少しづつ汚れが取れてきているようです。
あまり磨きすぎると、抜けはよくなっても解像力が低下するおそれがあるのですが、まずはレンズの曇り
を取るのが一番の目的です。


オールドレンズの世界では、標準レンズのコレクションがスタンダードというところがあります。35ミリから
60ミリのレンズは安価ですし年代ごとによって同じメーカーでも多種類のレンズがリリースされていました。それらを手に入れてひとつひとつずつ味わってみるというのも一興です。MF標準レンズは分解しても
容易ですので、まずこのレンズを徹底的に知っておくというのが写真の基本かもしれません。
標準レンズを知れば百戦危うからずであって正に写真そのものの基本というところがありそうです。

しばらくコメント無しの投稿が続きましたが、全てMFレンズ、もしくはAFレンズでもMFで撮影したものばか
りです。曇りありのレンズもあります。
しばらくは手持ちのMFレンズで撮影することになるでしょうね。
MFレンズでの撮影では、ピントリングを回すということがAFレンズとは根本的に違います。だからと言って
AF撮影とさほど違うところなどはありません。私の場合のAF撮影は中央1点のみで合わせていましたの
でMFレンズに近い撮影方法をとっていましたから。

AFレンズとオールドMFレンズの違いはむしろ金属感のそれでしょうね。オールドMFレンズはプラスチック
は使用してなくて全アルミ合金です。場合によっては真鍮です。この感覚がAFレンズと異なります。
そしてクロームメッキが多いのも古いレンズの特徴です。そしてなんといっても古いレンズですので使い
込まれたヤレ具合がよい雰囲気を出します。オールドレンズの特徴を一言でいえばこの、使い込まれた
歴史感でしょうか。
最新のレンズではどんなに頑張ってみてもこの感覚がありません。なんでも新品が好きな人には分から
ない感覚でしょうけど、かつて多くの仕事を成し遂げてきたレンズという雰囲気はオールドレンズにしか
ありません。

何でもそうですが新品が好きで中古は敬遠するという人は考え方が浅くてわがままで子どもっぽいです。
そういう人が新品の機材で写真を撮っても、浅い感覚の写真しか撮れないようです。どうもそんな気が
してなりません。
古い機材やレンズは大体は前所有者がいてその方が写真を撮られていました。前の使用者は複数の
場合も多いです。そのどこの誰かは分かりませんが、複数の人たちによって使い込まれたレンズという
のは、それだけの歴史があるいうことでもあります。
このモノの歴史感覚というのがオールドレンズの醍醐味というものかもしれません。

写真というのは自分ひとりではできません。まず被写体というものが他者の存在ですからね。自分の
考えひとつで写真が出来ているというのではなく、自分がいて相手がいて、そして多くの人たちの間で
もまれていくのが写真です。
これが分からないと写真というものができないといってもいいでしょう。


占星術では写真をするという意味での根底の星があります。それは冥王星とか蠍座ですね。
この星はものごとをよく見たいという切なるまでの願望です。見て知りたいという欲望ですね。この星が
なければ写真をすることはできないと思われます。
ですから芸術とか美学とかは、写真の本質として本来は関係ないということになります。普通、美意識
というのは金星とか太陽とかなんですが、冥王星はそれらとは真反対のものであって美意識とか人気
とかとぜんぜん関係のないものなんですね。ともあれ冥王星は哀愁の星です。あえて言えば哀愁の美
ですか。

そして冥王星は非常に深い意識でもって物事を見て、という具合になるのであり、また精神性も高いと
いう具合です。しかしこの冥王星は一歩間違うとご自分をダメにしてしまう星でもあるんです。
写真をすることは怖いのであるという何となくの意識がありますが、実はこの冥王星の働きによるもの
です。この冥王星か悪く働きますと、一例を挙げれば掲示板などで他人の揚げ足を取って悪意に浸ると
いう詰まらないことになるわけです。これはとても残念なことです。

それにしてもなぜ、写真として邪道の道を行くことになってしまったのか・・・私には分かりません。
推察でしかありませんが、考えられるのはまず一番に、写真を単なる画像だとして、その画像を作るの
が写真であるという間違った考え方から出発したことでしょうか。
本来、写真とは絵を作ることではなく、ものごとを良く見ることであり、見て知って考えることなのですが、
間違った方向に行った人は、この大前提を最初からすっぱ抜かしているということです。

それで人が写真として作った絵を見て、こんなんであれば俺にも簡単にできるわ、と間違った写真の認識
をしているということです。ですから出発点からして模倣なんですね。
中国の半導体産業は、半導体を外国から買ってきてそれを組み立てて製品化することは得意です。
ところが肝心の半導体を作れません。共産党政府はやっきになって半導体の国産化をやろうとしている
のですが、どうしてもできないようです。模倣大陸中国の宿命のようなものでしょうか。
それと同じように、肝心の写真としての半導体が作れないようでは画像はできてもそれは模倣であり、
写真とはいえないんですね。

半導体産業には半導体そのモノを作るという前工程と、その半導体を基盤に組み込んで製品化すると
いう後工程があるといいます。それは写真にも言えて、まず何を撮るのか、どう撮るのかという写真の
前工程と、実際の撮影、そしてその画像を仕上げるという後工程があるのではないですか。
この後工程だけを写真だとして得意になっても、前工程を全然知らなければ本来の写真はできません。
後工程にはカメラやレンズ、そしてパソコンやプリンターなどを使いますが、前工程は完全なソフトウェア
の世界なんですね。
このソフトウェアには、なぜ自分は写真をするのか、ということすら含まれています。そこから考えていく
のが写真の始まりなんです。おそらく写真として悪の迷宮に入り込んだ人はこの写真のソフトウェアと
いうものを全く知らないでしょう。

写真をすることで逆に自分は悪くなった、運勢が落ちたという感覚を抱いている方は、この写真の本来
の成り立ちというものをご存じなかったのでしょう。写真の後工程だけでは写真は模倣となります。
しかし模倣とは苦しいもので長く続けることはできませんね。模倣は面白くないからです。趣味として
楽しく有意義にやっていきたいと思って写真趣味に行ったつもりがそうとはならなかった。
こういうことがあって、写真に行き詰まり続けることができなかったという人がいるのだろうと思ってます。
とにかく、写真の後工程とは画像そのものですね。写真=画像だと認識している人は多いと思いますが、
これは写真のほんの一面をとらえたものにすぎないわけです。

冥王星のしっぺ返しを食らった有名人がいます。プーチンですね。順風万般だった人生がクリミアを併合
したあたりから狂いだしました。昨年のウクライナ侵攻からは完全に万事窮すという具合に陥りました。
もうそれを撤回することは不可能なのでヒトラーと同じく悲惨な人生の結末を迎えるしかないでしょう。
そもそも政治も戦争も知らなかった人間が自分は万全だと思い込んだ勘違いから始っています。
このように冥王星が悪く働くと取り返しのつかないことになるわけでして、結局プーチンの勘違いは祖国
ロシアを窮地に追い詰める結果となっています。といいますか、ロシアの没落の予定が先にあって、その
為にプーチンを歴史に登場させたというだけのことです。そういのはヒトラーと同じだったわけで。

この冥王星には勘違いをするのが特徴であって、それを写真に当てまめると写真は画像だけであるとい
うことだと言えます。勘違いとは思い込みであって、広い考えが最初から足りなかったということです。
その勘違いを最後まで引きずってしまう。


年をとれば敢えて新しいことはしないという用心深さが必要かと思っています。むしろ若い時期に学んだ
レガシーを育て、大事にしたいということ。
そういう意味ではオールドレンズというのは高齢者にとって理にかなっているはずです。カメラはデジタル
で行こうとすれば、せめてレンズは古いものにしたい、ということです。本当は光学式一眼レフで行きたい
のだけど残念ながら現行のデジイチではオールドレンズが上手く使えません。
それでしかたなくミラーレスなんですけど、自分が大昔に使っていたレンズが使えるのは嬉しいですね。
逆に言えばデジイチはAFレンズが良いのかも知りません。光学式ファインダーを見るのは気持ちのよい
ものです。

既にカメラはミラーレス方式が主流になってきました。ソニーだけでなくキヤノンやニコンもミラーレス方式
がメイン機種となっています。私の場合はソニーアルファを選びましたが要はどの機種でも良くて、私も
サブにはフジミラーレスでオールドレンズを使えるようにしています。ただ、APSなので50ミリ標準レンズが
望遠になってしまうというのが少しいただけないです。

ソニーアルファには各種マウントアダプターによって手持ちのほぼ全てのオールドレンズが着きます。
出来ていないのは大判レンズとか引き伸ばし機レンズなど、またマイナーなデジイチのレンズなどですが
ガムテープでくっ付ければ何とか写ります。例えば京セラAFカメラはミノルタMDのマウントとほぼ同じで
したのでレンズ固体によってはピッタリとくっ付きました。
カメラ本体は古くなれば動作しなくなりますが、レンズは長生きですね。改造すれば最低限、MFでなんと
かなりますから。考えてみますとレンズの超寿命はすごいものだと感じます。三脚ほどではないですが、
レンズは時代を超えることができます。

オールドレンズ、クラシックレンズを使って写真をされる方が多いのは、このレンズの長寿命性によるもの
です。そういうことではデジタルカメラのボディというのは使い捨てのものかも知れません。
レンズ遊びってことになりますが、これは写真の根本の原理を使っているので、へたな画像としての写真
をするよりも健全であるのかもしれません。


私が若い時分に主に使ったのはキヤノンFDカメラとオリンパスOMでした。それらのボディはまだ稼動で
きます。このFDレンズとミノルタのMDレンズはAFカメラになってからは使うことができないレンズとなりま
した。それをいえばヤシカ・コンタックスもそうですしオリンパスOMもそうです。
とにかく何でもかんでもくっ付けることができるのが現在のミラーレスカメラでして、オールドレンズだけで
なくもっと古いクラシックレンズも付いちゃうんですね。
キヤノンFD、ミノルタMD、ニコンFレンズなどは時代ごとの違うタイプの標準レンズがあります。付属してい
るフィルターやフード類も時代を表わしていてセットで使いたいという気分にさせられます。
この時代によってデザインが違うというのが面白いのです。
特にニコン、キヤノンFD、ミノルタMDレンズは伝統がありますのでプリセット時代からのものもあり(50-60
年代のものか)、当時の雰囲気を楽しむことができます。こういうカメラのスタイルを追求するのも良いん
ではないでしょうか。

そういう古いレンズに合うカメラは、やはりソニーアルファかなっていうところがあります。これがイオスRや
ニコンZだとデザイン的に隔たりがありますので、それでクラシックな雰囲気を継承しているアルファ7とか
フジX、オリンパスMDは、そのオールドなボディデザインがオールドレンズにマッチして、良い感じなのか
なって感じます。とはいえ、アンマッチブルなのも面白いのでイオスRやニコンZに着けても面白いでしょう
ね。だた現時点ではアルファがミラーレスとしての歴史が長いので各種マウントアダプターが豊富です。
これが最大の利点でしょう。

マップカメラ(顧客はマニアが多いと思う)の調査では一番売れているのがソニーアルファ7です。やはり
異種レンズ遊びをしている人が多いのではないかと推察されます。


オールドレンズなどの異種レンズ遊び。これは広い意味での写真行為において、どういう位置づけになっ
ているのか興味があります。オールドレンズは古いのでそんなに綺麗に写るというわけではありません。
操作も面倒です。大体は標準近辺のレンズなので撮影できる対象も限られてきます。
それで大体は撮影や写真画像としての雰囲気を楽しむものだろうと思われます。それからモノとしての
魅力というのもあるでしょう。若い人にとっては新鮮に写るのではないでしょうか。

そうは言ってもオールドレンズを稼動させるのは修理やメンテナンスなど大変なところがあり、買ってその
ままでホイというわけではありません。私の場合はジャンク品レベルのものばかりですからレンズを分解
して清掃などは常のことです。オーバーホールは常識と言ってもいいでしょう。
業者によって綺麗に修繕されているオールドレンズもありますが高価です。そういうものも多数中古市場
に出回っているということは、それだけオールドレンズを楽しむユーザーが多いということでしょうね。

最近の機材はあまりにも安易に写りすぎて、それが不満、という方たちがオールドレンズに向かうので
しょうか。それとデジタルカメラが高度化されて、それはミラーレスカメラの登場からですが、レンズの
性能の追求が容易にできるようになったこともあるでしょう。
オールドレンズ遊びは時期的にはソニーフルサイズアルファが登場し、各種アダプターが出てからです。
そういうことではカメラとして写真として素朴に写るとはどういうことなのか、という自己発見をしたいが
ために流行った遊びではないでしょうかね。

私の場合は所謂オールドレンズ、クラシックレンズを楽しむというよりも、ジャンクレンズを復活させてそれ
を楽しみたいというのが強いです。有名な高価なオールドレンズなどは興味がなくて、所持しているのは
何処にでもある古いレンズですので高尚な趣味とはいえません。レンズ沼とは無縁な趣味です。

私が今回のオールドレンズ遊びで感じたのは、最新の高性能レンズと性能の低いオールドレンズとの
比較が分かるというものだったと思います。この両者の比較によって、ああレンズとはこういうものだった
のか、となるわけです。ブランドの高性能なレンズばかり使っていては結局は何もわからないのではない
かということでかね。綺麗に写るのは当たり前という世界では本当の写真は分からないままではないです
かね。


レンズ遊び、面白いところはありますが、これはあくまでも余興であって、本当の写真趣味とはいえませ
んね。私はたまたま古いレンズの手持ちがあったのでやっているだけでして、こういう遊びを人様に勧め
ることはできません。
本当に写真を自分の趣味としてやっていこうと思えば、やはり自分は何を撮るのか、どのように撮るのか
何故撮るのか、そういうことへの粘り強い考察か大事だろうと思います。つまり撮影以前の煮詰めが大切
だろうということです。

そのようにして自分が撮る対象が決まってくると写真というのは半分以上完成したということになります。
極端なことを言いますと、その写真としての前半分ができてきますと、後半分の撮影自体は別にやらな
くてもいいんですね。それはどういうことかというと、カメラを持たなくても写真はできるということになりま
す。究極の写真術とは機材がなくても出来るんじゃないですか。カメラという機材はあくまで真の写真術に
いたるまでの方便のように思います。

私はたまたまフィルム時代のレンズが残存していたのでオールドレンズをやっていますが、わざわざ古い
レンズを買い求めてやるような趣味ではないと思います。
本屋の棚をみておりますとオールドレンズで写真をするというような感じのムック本もみかけます。しかし
それはちょっと違うんじゃないかなって感じますね。少しはやってもいいけど、のめり込むものではない
です。
そういうのは最新式のMFレンズでもいえます。いまさらMFレンズの時代ではないでしょう。ピントに気を
とられるあまり対象物への注意力が散漫になるわけでしてね。やはりAFレンズは写真を撮る道具として
優れています。

誤解されてはいけないんですが、昔のメカニカルカメラの時代ではMFレンズは最適でした。しかし現在
のオートマチックカメラ、デジタル時代のカメラとしては、やはりAFレンズが相応しいのであって、それを
混同してはいけないということです。
それを技術論的に言い替えますと、ミラーレスカメラの液晶スクリーン及びEVFでピント合わせをすること
はかなりの身体的な負担になるということです。(それで最近はMFレンズをAF化するアダプターも登場
するくらいです) 


静かなオールドレンズブームは、もしかすれば現代のスマホに代表される安易なデジタル写真へのアン
チテーゼのようなものかも知れませまん。その対極にあるようなものなんでしょう。いつでもどこでも気軽
にショットのスマホと比べれば、MFレンズ、大型単焦点レンズやオールドレンズはいかにも重装備で、
撮影は大変だからです。
しかし写真としてはそれ以上の意味は持たないと思いますね。モノとしての重厚感はあるんですが。

アンチデジタルへの最右翼はもちろんフィルム写真ですね。今でもフィルムで写真をされるいる方は
いると思います。しかし大変なお金が掛かるので私にはもうできません。まあフイルムで写真をするほど
の写真ファンでもないてすしね。
個人的には一旦とりだしたオールドレンズの整備に明け暮れていて、そのメンテナンスに大変といいま
すか、余計なことに首を突っ込んでしまったなあという感じです。(^^ゞ これでは本業(無論趣味として)
の妨げになるなあって。私の写真はあくまで健康維持としての撮影行なんですから。

元はと言えばシグマ35や40ミリよりも優れたレンズを試したかっただけでMFレンズに行っただけのこと
なんですけどね。標準レンズで最高峰といわれるコシナ55ミリですがオールドレンズにかまけて捨て置
いたままになっています。1回だけ撮影して、その感想としてはまずべらぼうな解像力があるということ。
収差が見当たらないということ。ただ発色は控え目です。色は画像処理で付ければ?というところなの
でしょうか。敢えて無個性なレンズという気がします。
それを言えば最新のレンズはおしなべて無個性なのであって、オールドレンズの濃い発色は対極にあり
ます。こういうのは時代の流れで変化してきたということでしょう。

それでオールドレンズブームのもうひとつの意味として、個性的な描写を得たいというのもあるかも知れ
ません。とくに濃厚な発色や高コントラストですね。現代のレンズは解像力や収差補正の代償として
発色を失いましたからね。画像処理で色を付けたとしてもやはり不自然さは否めません。
オールドレンズに行く方ってのは百人のうち1~2人だと思いますがそういうことではマイナーな趣味だ
ということです。

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