宇宙戦艦ヤマト著作権闘争
Exif情報
メーカー名 Canon
機種名 EOS 70D
ソフトウェア Digital Photo Professional
レンズ 10-20mm
焦点距離 10.0mm
露出制御モード 不明(9)
シャッタースピード Infsec.
絞り値 F9.1
露出補正値 +0.0
測光モード 分割測光
ISO感度 100
ホワイトバランス オート
フラッシュ なし
サイズ 1839x2758 (4,077KB)
撮影日時 2018-08-26 05:02:41 +0900

1   S9000   2019/7/23 00:24

 安芸高田市花火大会2018より。2画像の多重合成。
 花火を10mmで近距離から仰角撮影すると、実際に肉眼で見える釣鐘型を斜め下から覗いたような形の収束をせず、四方八方に火炎が飛び散るように映ります。この日は風が強かったので、その四方八方もちょっとバラバラになることも。この撮影のとき、かみさんは(たぶん、本能的に)広角で近距離撮影するポジションを嫌い、もう少し高台から撮影して、なかなかバランスのよい形におさめてました。やるなあ。
(撮影中はお互いの自由意思に任せるとりきめ)

 この「四方八方に火炎がひろがる」というのは、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」で、宇宙空間での爆発を表現する際に「ヒトデ爆発」と呼称されています。業界用語になるには至っていないようですが。

 この前、「漫画の原作者と作画者の関係性」に触れましたが、良好な場合もそうでない場合もあるようです。
 「宇宙戦艦ヤマト」は、原作漫画の存在しない、最初からのアニメ企画でした。漫画雑誌「冒険王」に連載された松本零士氏による漫画は、放映と並行して連載されたもので、月刊誌が毎週放映されるアニメを追いかけたため、内容を回顧録形式にせざるをえないところがあり、リアルタイムで読んでいた私も不自然に感じていました。
 この連載漫画「宇宙戦艦ヤマト」は、原作は松本零士氏とされていたのですが、世紀末をはさんで、アニメプロデューサーの西崎義展氏と松本零士氏の間で著作者確認訴訟が起きており、一審判決は西崎氏の勝利、そして控訴中に裁判外の和解で松本氏が折れ、西崎氏が原作者となりました。
 漫画の原作・作画のように、分担関係がはっきりしていれば問題ないはずですが、「宇宙戦艦ヤマト」の場合は、西崎氏が不祥事をおかして立場が弱くなったところを松本氏が突いたようにも見え、また裁判が起きた時点では「ヤマト」は世間的にはオワコンだったので、奇異に感じました。
 ただ、私はこの裁判の推移をリアルタイムでは見ておらず、結果を知って「そうだろうな」と思った程度です。

 他の松本氏の漫画に比べて、「ヤマト」は大きく毛色が違う(ストーリーがち密)、第2作の結末に松本氏が不満を持っていたことが少年雑誌で報道されていて、松本氏がストーリーに決定権を持っていなかったことを理解していたため、です。
 同作の脚本を一部担当した、藤川桂介氏が著作「アニメ・特撮ヒーロー誕生の時」に「宇宙戦艦ヤマトのメカデザインは、それまで担当していた普通の美術担当では難があり、この分野に強い松本零士氏を招いた」と述懐していること、また「ヤマト」のストーリー骨格はSF作家の豊田有恒氏が「西遊記」を引用して設定し、そのことを知った西崎・松本両氏が驚いたと述懐していること・・などから、少なくとも複数の人物による合議で作成されたことは疑いのないところです。

 かといって、松本氏のメカデザインがなければ、そもそも「ヤマト」の企画が魅力的なものに仕上がることもなく、陽の目をみなかったと思えるので、「ヤマト」における松本氏の功労は大なるものだと思います。そうならないのが、関係者たちのキャラクターなのでしょうね。
 豊田氏は特にこの点を重視して裁判において松本氏を支持し、藤川氏も、制作過程での軋轢から、著書で西崎氏を「N氏」と呼ぶなど毛嫌いしている様子。
(藤川氏によれば、西崎氏は不在時に会議を盗聴録音するなど、異常な行動が目立ったとか) 

 西崎氏は、決して穏やかな人物ではなかったらしく、成功と失敗繰り返し、自社の倒産、自身の破産、果ては服役まで経験しています。2009年になって「ヤマト」の続編、復活編を制作、全国公開するのですが、集客は伸びませんでした。翌年から、実写版、リメイクアニメが制作されるなど、それなりに人気が復活していくものの、西崎氏自身はそれらを見ることもなく、2010年に海難事故により75歳で命を落としています。

 内容が重たい、難解、ということで「ヤマト」は初回放送時に人気が出ず、繰り返し再放送されることでその良さが認識され、映画化されて爆発的なブームになる、というものですが、同様な経緯をたどったものに、「ルパン三世」があります。こちらはきちんと原作漫画が存在して著作権紛争もなさそう。作者のモンキーパンチ氏は今年、昇天されました。冥福をお祈りします。

戻る