メーカー名 | Canon |
機種名 | EOS 70D |
ソフトウェア | Digital Photo Professional |
レンズ | TAMRON SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2 A025 |
焦点距離 | 70mm |
露出制御モード | マニュアル |
シャッタースピード | 1/3158sec. |
絞り値 | F2.8 |
露出補正値 | +0.0 |
測光モード | 分割測光 |
ISO感度 | 100 |
ホワイトバランス | オート |
フラッシュ | なし |
サイズ | 2000x3000 (2,926KB) |
撮影日時 | 2018-08-19 02:03:37 +0900 |
スーパーカーブームを引っ張ったのが漫画「サーキットの狼」と言われていますが、スーパーカーの次にブームになるだろうと噂されていたのが「スーパーウエポン」、特に新世代のジェット戦闘機でした。これは、1976年の「ミグ25亡命事件」により、そうしたジェット戦闘機が世間的に大きな話題になったことも影響していると思われます。
スーパーウエポンは、目立ったブームには結局ならなかったものですが、ブームを先取りしようとしたかもしれない漫画が1977~80年に月刊少年ジャンプに連載された「影の戦闘隊」、作画・南礼二、原作・史村翔。
航空自衛隊員だった原作者は、「米国が一方的に日米安保条約を打ち切った1980年代の日本」という設定により、米軍に頼らず独力で国土防衛を果たすことに四苦八苦する日本を描いています。要するに、「ウルトラマン」の世界観における怪獣を国籍不明の敵対勢力に、ウルトラマンをこれまた国籍不明だが実は日本人により組織された「影の戦闘隊」なる防衛集団に置きかえたもので、少年漫画らしく、細かいことは抜きにして、最新鋭戦闘機をはじめとするメカニズムと、ヒロイズム・ダンディズムをほどよく描きわけた、戦闘アクション漫画です。
劇中で、日本を襲う危機は、当時世の中を騒がせた軍事関係の事件をモチーフしており、名前とは裏腹にミサイル攻撃だった「大韓航空機銃撃事件」に沿ったエピソードも登場します。なお、実際に撃墜にも及んだ「大韓航空機撃墜事件」(1983年)は連載終了後の事件であり、劇中には登場しません。
この中で、コミックス第3巻にある「宇宙からの恐怖」は、落下する衛星を迎撃することから、長らく、「スカイラブ落下事件」(1979年)が元ネタだと思っていたのですが、さにあらず、より恐ろしい、「コスモス954号原子炉衛星落下事件」(1978年)が元ネタだと最近わかりました。
エピソード「宇宙からの恐怖」は、軌道からそれた原子炉搭載の衛星が東京新宿に落下しそうになり、自衛隊ナイキJミサイルの迎撃が失敗、ホークミサイルでは高度が低すぎて放射能が地上に影響を及ぼしてしまうということで、「影の戦闘隊」のF15が、高度32000mまで駆け上がって、スパローミサイル4基で迎撃し防いだ、というストーリー。
史実のF15は、確かに31400mの高度に到達した記録があるのですが、それは極度に軽量化した非武装の特殊仕様機によるもので、その高度に達した際にはエンジンが消炎し、戦闘行動がとれるような状態ではなかったようです。しかし、1984年にはF15をプラットフォームとして、高度500km以上を周回する衛星を攻撃するASATミサイルの発射実験が行われており、「F15が衛星を撃墜する」というのは荒唐無稽な話ではありません。(このミサイルは実用化されなかった)
また、元ネタとなった「コスモス954号落下事件」は、諸般の事情で原子炉を積んだソ連の偵察衛星が、制御不能になってカナダに落下し、無人地帯とはいえ、600kmにわたって放射性物質を含んだ破片をまき散らしたという恐ろしい事件です。もちろんカナダ政府は激怒し、ソ連に600万ドルの賠償を請求し、さすがにソ連もしぶしぶその半分は払った、そうなのです。(wikipediaに項目あり)
原子炉を積んだ衛星は、地上に落下する前に、原子炉を分離して、落下まで何百年もかかる高度に上昇させ、半減周期によって無害化した段階で地上に落下させる、という仕組みらしいのですが、それが機能せずに原子炉ごと落下してきた事例はいくつかあるようです。
原子炉ではなく、B52が他機と衝突し、水爆が落下して内容物を四散させてしまったパロマレス米軍機墜落事故というのもあり、これもwikipediaに独立した項目があります。
劇中で落下してくる衛星は偵察結果のフィルムをカプセルで地上に落下させ回収する、小惑星探査機「はやぶさ」と似たようなシステムを持っているのですが、本来ならカプセルだけを分離するはずが、エラーによって原子炉を積んだ本体もくっついたままパラシュートで落下してしまうというパニック事態。衛星迎撃は、ただ破壊するだけならそのまま放射性の破片が落ちてくるし、残存燃料もぶちまけられるため、衛星の落下速度を減速させるパラシュートを破壊し、落下地点をずらした、という理解がもっともらしいように思います。(それでも洋上に被害が生じたものだが)
「影の戦闘隊」は、敵勢力の目的が何であるか、また主役勢力の資金源がどこから来ているのか、といったことは明らかにしていません。おぼろげには、「あらゆる攻撃を日本にぶつけることで戦闘シミュレーションを行い兵器の実戦試験を行う」「日本人に防衛意識を芽生えさせ、各種兵器を売り込みやすくする」という狙いが透けてみえ、劇中では一部は米国の仕業ではないかとにおわせる部分もあります。
また、主役勢力の資金源については、隊員たちに対して司令官が「君たちは気にしなくてよい」といなすシーンがあるのみで、何も示されていません。しかし、自衛隊の機密情報がこの戦闘隊に筒抜けになっていること、日本の国土のどこかに広大な秘密基地を公然と確保していることなどから、何らかの形で日本政府がかかわった、秘匿された、自衛隊では対応できない仕事をこなすための裏の部隊という解釈も可能で、その資金源はやはり国庫ということになります。
こうした、各勢力の目的、資金源をきちんと描写したのが、新谷かおる氏の「エリア88」でした。それはまた別に。
ちなみに、「影の戦闘隊」原作者、史村翔氏は、別名義「武論尊」のほうが有名で、
「ドーベルマン刑事」「北斗の拳」などが代表作です。史村名義では、新谷かおる氏と組んだ「ファントム無頼」の原作を担当しており、こちらも、史村氏の航空自衛官としての経験が存分に生かされた内容となっています。「無頼」はコミカルな内容ですが、一部に笑えない事故(弾頭種類不明のミサイルが東京へ向け誤射される)も描かれており、「戦闘隊」同様、当時流行した危機・終末モノの一環という解釈もできるものです。