拝啓ジューコフスキー先生、私ホオジロは元気です
Exif情報
メーカー名 Canon
機種名 EOS 70D
ソフトウェア Digital Photo Professional
レンズ TAMRON SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2 A022
焦点距離 600mm
露出制御モード マニュアル
シャッタースピード 1/395sec.
絞り値 F6.4
露出補正値 +0.0
測光モード 分割測光
ISO感度 400
ホワイトバランス オート
フラッシュ なし
サイズ 3000x2000 (3,445KB)
撮影日時 2021-04-20 15:32:31 +0900

1   S9000   2021/4/20 22:37

 あるいは「ラメンスコイエより愛を込めて」
 いや、単なるホオジロの飛翔シーンです。むふふふふ。

 ニコライ・ジューコフスキーは、航空力学を専門とする物理学者で、翼理論を確立した人。だそうです。
 その名前をいただいたロシアの都市がジューコフスキー市であり、その一地区であるラメンスコイエ(あるいはラメンスコエ)に大規模な飛行場がありまして、かつてソ連邦の時代にはここで新鋭の軍用機が開発されていたため、ジューコフスキーは軍事都市として、封鎖都市であったとのことです。
 偵察衛星によりラメンスコイエは西側陣営が定期観察しており、そこで発見された新鋭機には、見つかった順に、Ram-×と、コードネームがつけられたものです。衛星写真ゆえに、写りは不鮮明ではあったところ。
 
 ここで、今回のホオジロ君、ピントやSSがあわず、不鮮明であるところの言い訳につながるわけです。くけけけけけけのけ。

 最近よく見かける、中洲の主のようなホオジロ君。さえずりが独特なので、その存在にすぐ気づきます。どうやら、この一帯を、わが縄張りとして支配するご意向のようで。
 軍事上の機密であった最新鋭機も、いったん実用化すると今度は示威行為に使うわけで、1980年代中盤から、Ramシリーズはソ連邦のテレビ番組に登場するわ、西側軍用機に接近して見せつけるわ、はては西側陣営の航空ショーに参加するわ、でグラスノスチの波に乗ります。
 日本に限らず、全世界の飛行機オタクは知らんと欲す、という時代でした。

2   kusanagi   2021/4/21 20:46

メビウス変換とジューコフスキー変換
http://izumi-math.jp/M_Matumoto/Zhukovsky_ver2.pdf
優秀なS9000さんはこんなのスラリと分かるのだろうけど、ろくろく首で学校も行っていない私には
一体なんのこっちゃら。(笑) しかしまあ、どんな事象もすべて数学で説明できるということたろうと
いうことなんでっちゃろ。(^^ゞ 
ところで飛行機の場合はこうこういう様々な理論と技術でできあがるわけですが、じゃあ、ホオジロ君
を設計製造したのは誰ですゅか。それはジューコフスキー先生ではなくて、ホオジロ君自身です。と、
なるわけですが、そこらへん、ホオジロ君はどう考えているんでしょうか。
そんなの分からないのかね。馬鹿だな、人間は。屁理屈を言わないで、とにかく飛んでいれば自然と
こうこうなるんだよ。と、言われそうな気がする。しかし人間はどう足掻いたって飛べないので機械の
為に数学が必要なんだろうか。
この写真、消えてしまいそうな透け具合がカモメのヨンさまの雰囲気があって、気に入りました。

3   S9000   2021/4/22 22:49

 こんばんは。コメントありがとうございます(^^)v 
 私は文系なので、ジューコフスキー数式は計算できませんね。しかし、翼や、ジューコフスキー数式の解であるマグヌス効果は、漫画のギミックとして頻繁に登場します。
 ということで、吉例、漫画バナシにいきましょう(*'ω'*)

〇モータースポーツと翼
 モータースポーツでは、翼は揚力ではなくダウンフォースを得るためのアイテムとして多用されています。しかし、ジューコフスキー翼は、もっと高い速度で機能するようで、せいぜい300km/hプラスアルファのモータースポーツではリアウイングは平板で角度をつけるか、最近のF1のように、複葉にして思い切り立てるか、のようで、加工コストがかかり重量もかさむジ翼はあまり採用しないみたいです。
モータスポーツを描いた漫画「サーキットの狼」は、全体の3分の2は市販車ベースのスポーツカーによるレースですが、そこでリアウイングは、主人公が、最高速度をあきらめて、愛車の旋回性を優先するため装備するアイテムとして描かれています。
 全般に、「狼」では、登場人物が自らの愛車の性能(長所)を誇ると、その直後に短所が露呈し、敗北あるいは事故に急転するプロット(あるいはフラグとも)が設定されています。(主人公、副主人公も例外ではない)
 翼ではないのですが、空力性能に関しては、物語中盤で、主人公がタイムロスを気にするあまり、空力パーツ(ヘッドライトカバー)を省略してピットアウトするくだりがありまして、すぐさま不安定な挙動に苦しめられています。

〇マグヌス効果
 ジューコフスキー数式は、翼のような構造体だけでなく、野球のボールみたいな回転球体にも適用され、進行と逆向きの回転(バックスピン)によって、ボールに浮力(重力への抗力)が生まれることをマグヌス効果というそうです。
 このマグヌス効果(しばしば「マグナス効果」)は、1980年代後半以降の野球漫画でよく使われるギミックで、その影響なのか、少年野球の指導者が「バックスピンをかけろ!」と小学生に指導するシーンも目撃したことがあります。
 バックスピンのかかったボールがマグヌス効果を得て何が起こるかというと、本来、放物線軌道を描く投球が、浮力によって直線に近い軌道を得るのだそうで、打者の目線からすると、「ボールが伸びる」つまり、失速せず、むしろ加速(ないし上昇)するように感じられ、打者側の軌道予測が外れて空振りないし芯を外された当たり(ポップフライ)に打ち取られてしまうのだとか。
 ちなみに、「落ちる変化球」の代表、フォークボールは、マグヌス効果が逆方向にかかっていることが、スパコンによる解析で判明しているとのこと。
 だから、「一番打ちにくい球は変化球ではなくストレート」というのは半分不正解で、「一番打ちにくいのは変化しない変化球、バックスピンのかかったストレート」ということになり、かつ、一番投げるのが難しい変化球である、と。
 といって、私も野球の専門家じゃないから保証はしませんヨ。

 かといって、バックスピンは少年野球の指導者が教えたくらいで習得できるものではなく、沢村栄治、金田正一等、歴史上の剛速球投手は、みな教わることなく自然と投げていたようです。
 ここが、空力学も流体理論も教わることなく生まれつき飛んでいるホオジロと通じるところで、写真主題に帰結する点。むふふふふ。
沢村投手の速球は「ひざ元でホップする」「浮き上がるのでバットに当たらない」と捕手や打者泣かせだったとの伝承がありますが、捕手も打者も、「投球はホームベースに近づくほど沈む」という法則にしたがって行動するため、その法則に反してあまり沈まない投球は、「伸びる」「ホップする」と感じるもの。
漫画では、例えば水島伸司「ドカベン」で、これが誇張して描かれています。マグヌス効果云々の解説はありませんが。
 結局、変化球も直球も要は「そのように見えれば目的を達せられる」ものであって、視覚的誇張は、我々も写真で多用するところですから、うなずけるところでもあります。

4   kusanagi   2021/4/24 22:17

3番のコメントは力作ですね。驚きました。これだけ書けるというか、私の問いかけを的確に読み解き、
そして返答に膨大な知識と分析力で書けているというのは並大抵の能力ではありません。
だいたいは有名大学を出ますと、どこかに能力の欠損が出てくるものなんですがS9000さんの場合が
それがなさそうです。あんまり学校での勉強をしていなかったのか、それとも既に身に着けていた自分
の漫画学が、既存の大学教育のレベルを軽く上回っていたということかもしれません。これは漫画学の
勝利です。とにかく書いている内容も非常に高度であって、興味深く読ませてもらいました。
私が若かった頃、上司に灯台卒の方がおられました。それで大学教育というものはどういうものなのか
とお聞きしたのですが、帰ってきた答えは、あんなのは単に資格を得る為の方便であって、本当の
学びの場ではないと言ってました。そしてとにかく本を読みなさいと、私に薦めてくれました。本の読み
方も教えてくれましたね。つまり読書による独学です。以来ずっとその教えを私は守っています。そして
今回、漫画も立派な読書なんだと再認識をすることになりました。(^^ゞ 

5   S9000   2021/4/25 00:35

 こんばんは。コメントさんくすです(^^)v
 漫画はおもしろいですよ。特に「サーキットの狼」は、作者の実体験、また作者の友人たちの実体験をベースにしているので、リアリティがあります。作者池沢氏は空力学はもちろん、自動車技術の専門家でもない様子ですが、観察力が非常にすぐれているらしく、「狼」の各シーンは、とても深いです。
 例えば、コメント3で紹介した「空力パーツに欠損がある状態で無理に走行し、不安定挙動に苦しめられるシーン」は、1978年の作画ですが、1999年ルマン24時間のメルセデスCLKが起こした大事故のメカニズムそのままです。
 本当は作者として、もっと書き込みたいことがたくさんあったと思うのですが、少年漫画だからと、編集者が抑制したのかもしれません。池沢氏は伏線の名手ですが、ストーリー上はっきりしたもの以外に、いろいろなセリフにもそれが隠れていて、全体の質感をすさまじく引き上げています。
 実際のレースにもっと忠実な描写に徹した漫画は他にいくつもあるのですが、「狼」は物語として完成度が突出しています。
 
 読書に関しては、私も推奨しますね。よく言われる「一度は読者の立場で、二度目は登場人物の気持ちを想像して、三度目は作者の気持ちを想像して」と、3度読みですが、私は古本購入、図書館利用による「3.5度読み」を推奨します。ページの癖、手垢、書き込みなどで前の読者の気持ちが想像するのも古本読書のだいご味。
 少なくとも私は大学にいる間にこの習慣を身につけた気がします。ということで、赤瀬川源平氏の「カメラが欲しい」は古本ですが、読んでいてとても楽しいですね。ただし、私が入手した古本の前読者は、どうやら繰り返し読むことはしなかった様子で、きれいな状態です。
 きれいと言えば、大学については、きれいごと抜きに「ソーシャルクライム」というものを体験する意味があります。また、世の中で権威とされている教授と呼ばれる人々の、生の姿を観察しておくのも大事なこと。

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