雑文
Exif情報
メーカー名 NIKON CORPORATION
機種名 D800
ソフトウェア Capture One 6 Windows
レンズ
焦点距離 16mm
露出制御モード ノーマルプログラム
シャッタースピード 1/100sec.
絞り値 F4.5
露出補正値 -0.3
測光モード 分割測光
ISO感度 100
ホワイトバランス
フラッシュ なし
サイズ 2048x1367 (1.67MB)
撮影日時 2015-12-10 01:23:04 +0900

1   kusanagi   2023/12/12 21:07

⑳+⑤
先日の新聞記事。フジフイルムのチェキが売れているそうです。売上高1500億円に。15年3月期に
比して今年は3倍。4期連続して過去最高の更新が続く。
写真をプリントする不便さがスマホ世代に新鮮。専用フイルムの生産供給が追いつかない状態。
チェキにスマホに接続すればスマホ内に撮り溜めた写真もプリントできる。世界のチェキは数千万台。
年間10億枚が撮影される。スマホでは年間数兆枚撮影されるという。これもチェキは取り込みたい
ということらしい。
富士フイルムHDの24年3月期の連結営業利益のうち、最大のものはヘルスケア部門で1120億円
だが、カメラなどのイメージング部門は、前年比21%増の880億円。全体の3割。そのイメージング
部門の営業利益のうち数百億円をチェキ事業占めて、営業利益率は20%と全部門で最も高い。
欧米が最大市場、ついで日本や中国などのアジア市場。

販売が伸びている背景には、アナログ感やレトロな味わいがスマホ世代に支持されているという。
チェキはフイルムが出てきて数分間かけて徐々に写真が浮かびあがる。そのアナログ感や粗い質感
がエモいという。タイパなど効率を優先するデジタル社会に息苦しさを感じる若者は少なくない。社会
分析として、効率的な社会が進めば進むほど、非効率だが自分だけの体験が楽しめるアナログへの
反動が背景にあるという。
※エモいとはエモーション、エモーショナルの意味か。感情・感動的?
※タイパはタイムパフォーマンスらしい。コストパフォーマンスがコスパなのでもじったのでしょう。

とまあ、こんな感じの記事でした。
そしてすぐさま思ったのは、私自身の黒白回帰もこのチェキ現象と変わらないのだということでした。
チェキのじんわりと絵が出てくるというのは、黒白フイルム時代の暗室での現像を思い起こしますし、
粗い画質というのも情報量の低下ということで黒白写真と共通しています。
つまり人間、あまりにも高効率で過剰情報量という状態には耐えられないというか、そんなものは長続
きしないということでしょうね。それは極めて非人間的であり、そもそも人間の脳はその仕組みから
して、そのような状態には馴染めないということでしょう。

さらに思ったのはタイパ世代ではない比較的時間の余裕のある高齢者は高画素で高画質なカラー
写真でよいけれど、タイパ世代の若いスマホ世代では逆転していて、低画質の情報量の少ないアナ
ログ感を感じさせる写真がよいのだということですね。現代の写真趣味世代は、もう高齢者ばかりで
あるというのも、そういうことが背景にあるような気がしてなりません。
チェキも黒白写真も、自分だけの密やかな楽しみであるということでも共通しているのが特徴です。
しかしそれは極めて重要であるわけですね。この自分だけの楽しみというのは一見して、非社会性の
ように思われるかもしれませんが、そのような現象が広く行われていれば、それは結果として社会現象
になるわけです。

デジタル写真はここに来て第3世代に突入したという感想を持ちます。
第1世代は写真がフイルムからデジタルに移行した時代。
第2世代はデジタルカメラが高画質化し、他方でスマホというモバイルカメラが登場したこと。
そして第3世代とはその反動で、いつでもどこでも写真+高画素高画質な写真から、もう一度写真を
見直してみようかという新たな時代でしょうか。
こうして考えてみると、私が黒白写真にすんなりと慣れてしまったというのが良く理解できるように
なったと言いますか、それもひとつの社会現象であったということで納得ができるようになりましたね。

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