メーカー名 | Canon |
機種名 | EOS 70D |
ソフトウェア | Digital Photo Professional |
レンズ | TAMRON SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2 A022 |
焦点距離 | 600mm |
露出制御モード | マニュアル |
シャッタースピード | 1/166sec. |
絞り値 | F6.4 |
露出補正値 | +0.0 |
測光モード | 分割測光 |
ISO感度 | 400 |
ホワイトバランス | オート |
フラッシュ | なし |
サイズ | 3000x2000 (2.44MB) |
撮影日時 | 2024-07-22 03:37:37 +0900 |
日本におけるスズメの総数を正確に算定することはできませんが、いろいろな観測結果が減っていることを示唆しているところです。
その要因は、容易にはスズメの営巣を許さなくなった現代建築の住宅、耕作放棄地の増加、農山村の衰退、コンバイン普及に伴う落穂の減少、都市におけるカラス等天敵の増加などなどもろもろの事情が語られていますが、私が観測しやすい農山村の衰退、コンバイン普及について考えてみたいと思います。
https://www.jppn.ne.jp/jpp/s_mokuji/19841104.pdf
上記論文によれば、スズメの米に対する依存度は、収穫期よりむしろ越冬期が高い。また、水田であっても隠れ場所のない条件ではスズメは定住できない、とあります。
コンバインによる落ち穂の減少がスズメ衰退の要因のひとつと言われるが、実際に稲作を手伝うと、コンバイン刈り取りの田んぼにも一定の落ち穂は存在します。しかし昔は冬の田んぼの風物詩だった「藁倉」(稲わらをくみ上げた平屋構造の仮設物)が無くなったことが、コンバイン普及による決定的な変化です。藁束が残りませんから。
藁倉はスズメの逃げ場ともなるし、僅かながら残り穂がある上、虫などの越冬場所にもなっていた可能性があり、スズメにとって採餌場所でもあったかもしれません。
また、コンバイン刈り取りの田んぼでは、秋の比較的早い、温暖な時期に耕耘し、わずかに残った落穂も土中に藁とともにすきこまれてしまいます。さらに全般に収穫時期が前倒しになっていることからも、水田はスズメの大群が越冬するには不適になってきています。
コンバインは刈り取りから脱穀までこなす便利な機械ですが、ここから刈り取り機能を取り去った、移動式脱穀機(商品名「ハーベスター」)を我が家では長年愛用していました。刈り取りはバインダーという、稲を何株かまとめて刈り取り、たこ糸で結束してくれる自走式の機械を使うので、手刈りよりは楽でも、刈り取り+脱穀の2工程が必要なため、作業時間はコンバインの倍以上になります。稲束をいったんテント上に組み、ハーベスターの巡回経路に沿って並べ、ハーベスターに一束一束、手作業でつっこむのもかなりの労働でした。この過程で落ち穂が出るし、耕運もすぐにはしないので、スズメには好都合の図。
この方式の人間目線でのメリットはもちろん「藁が得られる」ことです。部分的に天日干しの恩恵もありますが、基本的に乾燥機を通すのでコンバインと変わりません。周囲に酪農家がいる、畑作に藁を必要としたなどの事情もありましたが、次第にそうした要素も薄れてコンバインに移行していきました。
これ以外にも、ゴミ収集の発達と廃棄物清掃法の規制強化で、残飯、野菜くずなどの家庭ゴミを田んぼに投棄、焼却する風習が無くなりました。少子高齢化と放し飼いの規制強化で、犬の屋外飼育も減ったため、犬の餌をスズメがしっけいする機会も減りました。
細かい話になりますと・・・・ 私の出身地域では、樹木の切り株を神様とみたてて生米を備える風習がありました。神社には賽銭よりも生米を投げ入れてました。このお供え米は虫の餌にもなったが、回収され野山や神田に還元することでスズメの餌になったと思う。さらに、賽銭箱のない神社もあり、米を屋根に向けて撒き餌のごとく飛び散らかして投げ入れることもあった。それらもすべてスズメの餌となっていたでしょう。今日、そのような風習は喪失されつつあり、何かとスズメは住みづらくなっているわけです。
これが農村でのスズメ減少理由のひとつと思われるが、一方で都心部でむしろスズメが増えているという観測もあります。
http://blog.bird-research.jp/article/190372804.html
都心部はもちろん水田もないし、住宅事情もスズメの営巣に適さない。しかし、電柱上の変圧器の下に巣を作るなど、スズメなりに工夫して繁殖しているようです。また、営巣だけで言えばツバメの巣の乗っ取りも随所で観察されています。
スズメにとって都心部の採餌環境は豊穣とは言えないだろうが、河川敷に繁茂するセイバンモロコシ他、イネ科の種子植物が彼らのカロリー源となっているかもしれない。そして都心部には桜の名所も多いが、桜に対する盗蜜行為はスズメの得意種目であります。さらに公園緑地の生け垣は、よい隠れ場所にもなっています。
一時的には電線やテレビアンテナもスズメの休息場所になる。営巣はできなくても、人家はスズメが休息することすら拒んでいるとは言えない。
こうして、河川敷と住宅地、公園を行き来するスズメの小規模な集団(数十羽)は頻繁に目撃するところです。
都心部への進出もよいことばかりではないでしょう。
変圧器への営巣は電力会社として好ましくない。樹木での営巣はカラス他の天敵に狙われやすい。公園の生け垣は野良猫の守備範囲です。河川敷の雑草も、人が育てた米ほどに豊穣とは思えません。
というわけで、スズメは現代の都市・農村事情に応じた、持続可能な個体数に落ち着いていく過程にあると考えています。この環境に最適化した段階で個体数は横ばいになるのでは?
コンバインはスズメにはよいことなさそうですが、ツバメにとっては、稲にとりついたウンカなどの虫が餌となるため、コンバインの動作音を聞きつけて大量に集まってくるそうです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f903713b4b58c5c128754bd9411d0924389d1c11
私の実家では稲刈りが10月初旬から中旬なので、コシアカツバメしか残っておらず、このような光景には出くわしてません。ただ、トラクターの音を聞きつけて、掘り起こされるミミズその他を目当てに飛んでくるハクセキレイを目撃しているので、ツバメの同様な行動も理解できます。
また、コンバインが裁断した藁くずは、春にツバメが渡来したときに田んぼの泥とともに巣材になるため、ツバメとコンバインには親和性がありそうです。ツバメは害虫を食べる益鳥ということもあってか、農家にとって営巣での糞害以外にマイナスはなさそう。害虫はスズメも食べるでしょうが、ツバメはそもそも穀類を食べませんから。
スズメによる作物への食害は、収穫期より、育苗期のほうが深刻なようです。実家の兄も、防鳥ネットで対策していますが、スズメとハクセキレイが突破することも多く、頭を悩ませています。
野鳥ファンと農業手伝いというふたつの立場からするとスズメに限らず野鳥は微妙な存在で害鳥という言葉もありますが、それでも農作業をしている人々がチョウゲンボウを見て喜んでいるのを見ると、農業は野鳥と接する機会が多いことだけは確かなようです。